夏葉原内のeスポーツイベント「神田明神カップ」リーグオブレジェンド部門の決勝戦が2019年8月11日(日)、神田明神ホールにて行われた。決勝戦は「BILINGUAL」VS「Team Jeanne d’Arc」。オフライン予選を勝ち抜いた、総勢54チームの頂点を決める最後の戦いとなる。優勝賞金70万円と副賞を手にするのはどちらのチームなのか。MCは吉﨑智宏氏、アシスタントMCはあぷりこっと*氏、実況&解説はいぇーがー氏&リクルート氏、アナリストはiSeNN氏、インタビュアーは吉田早希氏が務めた。

決勝進出チーム

■BILINGUAL


異常な突破力を持つKreative(クリエイティブ)選手と高いガンク精度を誇るisurugi(イスルギ)選手を有するBILINGUAL。準決勝ではPOGGERSに劣勢からの逆転勝利、決勝へと駒を進めた。

■Team Jeanne d’Arc(以下:Jeanne)


専任コーチを有しており研究力に長けたJeanne。ADCのMarimo(マリモ)選手をMim(ミム)選手に変更、準々決勝と同じ布陣に。よければこのあとフレックスいきませんかとの接戦を制して決勝の舞台に立つ。

決勝戦:BILINGUAL VS Jeanne

1戦目

チーム:BILINGUAL チーム:Jeanne
LemOn kyp
isurugi Ganq
Kreative Silver
xylt Mim
Hirokin Nagi

序盤から激しい攻防に

集団でのジャングルスタートを得意とするJeanne、決勝の舞台でも同様の戦術を見せる。

ジャングル内でGanq選手が遭遇したタイミングで最初の戦闘が開始、フラッシュで味方陣営まで戻り集団戦に持ち込む。
Nagi選手のイグナイトからの集中攻撃でファーストブラッドとなる。

isurugi選手のガンク

戦闘後は各担当レーンへ散会しファーミングに徹する。
多数の選手が緊急回避用のフラッシュを消費したためガンクがより効果的な状況に。各レーン戦においても緊張感が走る。

これまで鮮やかなガンクを披露してきたisurugi選手がここで動く、準々決勝を想起させる緩急のある強襲で1キル。
その後、BILINGUALはドレイクを撃破、Jeanneはヘラルドを取得。破壊するオブジェクトの優先度にもチームの個性が出る。

流れを変えるLemOn選手のプレイ

劣勢が続くBILINGUALだがLemOn選手はTopレーンでの攻防、ヘラルドと多人数を相手にするも捌き切るファインプレイ。
このプレイにより状況が一変、リソースをTopレーンに割いていたJeanneはBotレーンで押されることに。
大きく体力を削られたタワー近くでファーミングを開始するも、一度引いていたBILINGUALの強襲によりスコアは逆転。

一方、Kreative選手はTopレーンでソロキルを決める。BILINGUAL持ち前の連携と個人技が調和を始めキル数とゴールドを引き離す。

BILINGUALは積み重ねたゴールド差をもって強烈なタワーダイブ。
jeanneはTopレーンのインナータワーを人数をかけて守るが、BILINGUALの考えはその先、タワー奥までえぐり込みキルを量産した。

リスクを取りバロンへ

Jaenne側は可能な限りロングゲームに持ち込みゴールドの価値を下げたい。
丁寧に集団戦を行いxylt選手をキル、そしてリコールせず勢いそのままに起死回生のバロン撃破を敢行する。

しかし、装備を整え帰還したKreative選手が止まらない、華麗な位置取りからバロン前のJeanneを一掃。
決死のバロン争奪戦に敗れたJeanneは、折り込み済みリスクと言わんばかりに次の戦いの準備を進めることになった。

チーム:BILINGUAL チーム:Jeanne d’Arc

2戦目

チーム:BILINGUAL チーム:Jeanne
LemOn kyp
isurugi Ganq
Kreative Silver
xylt Marimo
Hirokin Nagi

Jeanneの戦術が火を噴く

Mim選手をMarimo選手に交代させ反撃を狙うJeanne。初動はSilver選手をMidレーンに残しつつもジャングルへ集団行動。
両チームともレッドバフを取得する鏡打ちの序盤となる。

Kreative選手を徹底的に意識する必要のあるJeanne。序盤にMidレーンにて集団戦を仕掛けキルに成功する。

Kreative選手の逆襲がはじまる

しかし、戦線復帰したKreative選手がSilver選手を速やかにキル、続けてフラッシュインからGanq選手に距離を詰めてキル、さらにはMarimo選手をキル。判断が早すぎる、瞬く間にトリプルキルを決めて見せた。

TopレーンにKreative選手を配置する選択をしたBILINGUAL。このタイミングでJeanneはBotレーンに戦力を集中させ人数差がある状態で集団戦にもつれ込ませる。CCチェインからisurugi選手とMarimo選手がそれぞれキルを決める。

結末を悟る実況席

Kreative選手がいない場所での集団戦を挑むことに成功したJeanne。しかし結果だけを見ると1対1交換。
ここまでの状況を顧みて、実況席は試合中盤ながらも訪れるであろう結末を悟り始める。

Kreative選手が止まらない

終盤戦、Kreative選手がもう止まらない。1試合中に2度目、3度目のマルチキル。観客席から歓声では無くどよめきに近い声が漏れ始めた。

そしてこの日、最後の集団戦。その男は淡々と仕事をこなす。
チームメンバのサポートを受け敵陣ネクサスへの路をこじ開ける。彼の名はKreative、勝利を創造する男。

チーム:BILINGUAL チーム:Jeanne d’Arc

BILINGUAL勝利の瞬間

イヤホンを外しながら笑顔で顔を合わせるBILINGUALメンバ、落ち着いた様子で席を立つ。

「kreative君が強すぎて、優勝した実感がありません」謙遜したコメントのHirokin選手。

MCの吉﨑智宏氏に「MVPは誰だろう?」と訊ねられ、一斉にKreative選手へ指を差すBILINGUALメンバ。

Team Jeanne d’Arcにも拍手が送られる

Team Jeanne d’Arcは全力で戦ったことと今の想いを率直に伝え勝者を讃えた。
「単純に悔しいです。出来る対策はしてきたが相手チームが一枚上手だった。BILINGUALさんおめでとうございます」
素晴らしいコメントに会場からも拍手が巻き起こる。

「POGGERS」&「よければこのあとフレックスいきませんか」

準決勝で敗れた「POGGERS」「よければこのあとフレックスいきませんか」も試合を最後まで見守った。

iSeNN氏のアナライズ

今回、注目となったのは試合の合間に行われた元プロプレイヤーiSeNN氏のリプレイ解説である。
選手達のプレイの意図を汲み取り、論理と心理面からの分析・解説が行われた。

プレイや戦術の高解像度な言語化により、観客にも選手の思考が伝わる。より選手に注目が集まることを目的に催された神田明神カップにとって、この上なく相応しい取り組みとなった。

インターバル中は選手達もiSeNN氏の解説に耳を傾けた。

表彰式

優勝:BILINGUAL

準優勝:Team Jeanne d’Arc

3位:POGGERS

3位:よければこのあとフレックスいきませんか

夏空の下、境内にて

表彰式は神田明神の境内にて行われた。夏の空にトロフィーを掲げる「BILINGUAL」。
彼らはプロではない、しかし歴史ある地で次世代の扉は開かれた。彼らはそれぞれの道へと進む、そしてきっと来年の神田明神カップで帰ってきてくれるだろう。

アーカイブはこちらから。
https://youtu.be/rufBxXEBgYE


写真左からあぷりこっと*氏、吉﨑智宏氏、吉田早希氏


写真左からいぇーがー氏、リクルート氏、iSeNN氏

公式ページ:http://kandamyoujin-cup.com/LOL/