長きにわたって数々の大会で好成績を残し、”2D神”とも称されるTOPANGA所属のマゴ(マゴしぃ)選手。
親しみやすいキャラクターと卓越したトークスキルから配信の世界でも多くのファンを持つ、格闘ゲームシーンの中心的存在だ。
5月26日(日)に大阪で開催されるeスポーツPRフェス「GAME CENTERS IN OSAKA」では、メディアアーティストの真鍋大度、グラビアアイドルの倉持由香、ミュージシャンのKenKen、高知のご当地キャラであるしんじょう君と異色のメンバーが「ストリートファイターV」(以下、「ストⅤ」)のエキシビジョンマッチを行うが、マゴ選手は倉持由香と師弟関係を結んだ。
グラビア界屈指のゲーマーとして、EVOでは 3回戦に勝ち上がった実力を持つ倉持由香とは、10年以上の交流があるマゴ選手。二人のタッグが、どのような化学反応を起こすかにも注目が集まるところ。
esports pressではマゴ選手に直撃取材を敢行、人にゲームを教えることのメリット、女性の格闘ゲーム人口が増えつつある昨今のeスポーツ事情、「GAME CENTERS IN OSAKA」への意気込みなどを大いに語ってもらった。
――かねてから倉持さんとは親交があるんですよね。
マゴ:彼女が14歳の時に知り合ったので、もう10年以上の付き合いですね。
――倉持さんに「ストⅤ」を教えるのは今回が初めてですか?
マゴ:過去にもあります。なので改めて教えるのは照れ臭いですよね(笑)。ただ倉持とはプロゲーマーの中で一番仲が良いと思うし、お互いに意見を言い合えるので、そこは良かったなと思います。
――そもそも人に教えるのは得意なほうですか。
マゴ:得意というよりは好きですね。教えるのが上手いかどうかは自分では分からないですし、まだまだだなって思う部分もありますけど。
――教えるのが好きというのは具体的にどういうことですか?
マゴ:誰かに頼られたい。もしくは誰かのためになりたい。その人の中で自分の存在が大きくなると嬉しいかなって思います。僕が教えることで上達して、「マゴさんのおかげで上手くなったんです」って言われると嬉しいじゃないですか。そういう自分の気持ち良さのために教えています(笑)。
――昔から教えるのが好きなんですか?
マゴ:昔から対戦が終わった後に、「こういうところが困っている」「こういう風にされると嫌だよね」などと対戦相手と話し合ったり、自分の意見を伝えたりするのが好きだったんです。その延長線上なのかなと思います。
――とはいえゲームのテクニックを言語化するのは大変ですよね。
マゴ:正確に言語化するのは難しいですね。しっかり伝えたつもりでも、実際にやってみると全然違うこともありますし。
――教えることで、自分にとっても発見はありますか。
マゴ:あります。長く格ゲーをやっていると、何となくでやっていることって、すごく多いんです。幼少の頃からやっているので、何となくコマンドで必殺技を出せる、何となくコンボを出せるみたいな。
でも最近、「ストⅤ」を始めた方のプレイを見ると、こんなこともできないんだと思ってしまうんです。言い方は悪いですけど、僕らが当たり前だと思っていたことが、そうじゃないと気付くんですよね。
それを言語化して、相手に伝わるようにするのは本当に難しくて。それを伝えられた時って、自分の中でもちゃんと理解できているんです。
――言語化できたことは、どういう局面で活きてくるんですか?
マゴ:長く続けていても困ったことって幾つも出てくるんです。そんな時に言語化したことを照らし合わせると、すぐに改善できることがあるんです。
――自分自身の課題もはっきりすると。
マゴ:ですね。人に教えることで、自分の中で曖昧にしていた部分を明確にすることができるので、自然と理解度も高まります。
――人に教えてもらうことはありましたか?
マゴ:ありました。それこそ僕も最初は下手だったので、ゲームセンターに通い始めた頃に知り合ったすごく仲の良い人がいたんです。“森川”って方なんですけど、言ってしまえば、その人が師匠みたいな存在で。その人は僕が始める5年前ぐらいから格ゲーをやっていて、真面目にゲームのことを考えていて、それを理論的に説明してくれたんです。
――その説明を真剣に聞いていたんですか?
マゴ:それが当時は全然耳に入ってこなくて、「何か言ってるけど、俺は違うし!」なんて思っていました(笑)。でも熱意を持って伝えてくれて、思い返してみると良いことを言ってくれていたんですよね。
――振り返ってみれば影響を受けていたと。
マゴ:そうですね。今、格闘ゲームについて考えていることの大半は、森川のおかげだなって思います。プレイそのものだけではなく、「格闘ゲームのシステムはこういう風に成り立っているんだ」とか、「波動拳の打ち方一つでも、こういう理由があるんだってことを理解しなくちゃいけない」って一つひとつ丁寧に教えてくれました。
――自分が教える立場になって、せっかく自分で発見したテクニックを人に伝えることの抵抗感はなかったんですか。
マゴ:抵抗があった時期もありました。先ほどもお話しましたけど、自分ができることは誰もが普通にできると思っていましたからね。
自分が家にこもって地道にトレーニングモードで調べてできたものでも、人に教えるのはたやすいし、実際にできるようになるのも簡単だから、これを教えたらヤバいなって。
でも意外とそうではないことが最近分かってきて、抵抗感はなくなりました。むしろ教えることで新たな攻略法が生まれる可能性もあるので、そっちのほうが自分にとってもプラスだなと思うようになりましたね。
――ポジティブですね。
マゴ:もちろん直近の大会で、とんでもなく強い連係が見つかったら、さすがに教えるのは躊躇します。でも長い目で見ると、対戦の中で有効なものは教えて、お互いに伸ばしていったほうがいいんですよね。
これは僕に限らず、他のプロゲーマーもそうだと思います。特に※「カプコンプロツアー」が始まってからは、その意識が全員強くなっています。
何回も対戦で当たる訳ですし、海外の選手と戦う時に、隠さずに有効な連係を開示していって、さらに有効なものをみんなで見つけていくほうが日本全体のレベルが上がりますからね。
※「カプコンプロツアー」・・・「カプコンプロツアー2019」(Capcom Pro Tour 2019/CPT2019)とは、『ストリートファイターVアーケードエディション』によって行われる競技格闘ゲームのプレミアリーグ。1年を通して世界各地で開催されるポイント制の大会に強豪プレイヤーが参加、年末に開催される「CAPCOM CUP」の出場枠32名を巡って争う。 公式サイト:https://capcomprotour.com/
――格ゲーは個人勝負ですけど、プロゲーマー同士はチームみたいな関係でもあるんですね。
マゴ:プロツアーで一緒の飛行機に乗って、一緒のホテルに泊まっていると、おのずとそうなっていきましたね。いちいち隠すのも面倒ですし。
ゲームセンター全盛期の頃は、東京・大阪・名古屋など、その地域にしかないテクニックがありましたけど、今はインターネット社会なので、すぐに有効なテクニックは広まりますしね。
――ところで倉持さんの「ストⅤ」の実力はいかがですか?
マゴ:先日、ユニクロさんが開催した「ストリートファイター」とのコラボイベントで、倉持が「ストⅤ」の対戦をやっていましたけど上手かったですね。こんなに上手くなっているんだって感心しました。
――以前の倉持さんは、格ゲーに限って言うと、プレイヤーというよりも観る側に徹していた印象です。
マゴ:そうですね。ゲーム仲間は格ゲーが上手い人たちが多かったので、観る専門で割り切っていたんです。
ただ最近は女性プレイヤーの需要が高まっているのも分かってきて、なおかつ倉持と同じぐらいの実力で「一緒に始めよう」って女性も増えてきて、モチベーションを高くやれているみたいですね。僕にとっても本当に嬉しいことです。
――女性の格ゲー人口が増えている実感はありますか?
マゴ:すごくあります。僕は15年前ぐらいに格ゲーを始めたんですけど、その時は女性プレイヤーが500人に1人ぐらいのイメージです。ましてや倉持みたいな著名人が表立ってやっていることはなかった時代でした。
それが今では日本でも海外でも、ゲーム大会に一人で来られる女性は珍しくない。15年前の自分に「未来は明るいぞ」と教えてあげたいですね(笑)。僕は中・高と男子校だったんですけど、成人になっても男子校かよと思っていましたからね。
――ようやく最近になって共学の兆しが出てきたんですね(笑)。「GAME CENTERS」のようなeスポーツのイベントについては、どのように捉えていますか。
マゴ:ちょっと前まではゲームショーなど、しかるべき場所でしか開かれていなかったeスポーツのイベントが、ゲームとは関係のないような企業や場が主催となって開いてくれるので、嬉しい変化を感じます。
去年は「eスポーツ元年」なんて言われていましたけど、本当に良い流れになっていますよね。なおかつ日本の格ゲー界は他のジャンルに比べて世界でもトップクラスなので、そこを取り上げてくれるのも嬉しいです。僕らプロゲーマーもそれに合わせて、ここが頑張り時なんだなって思います。
――最後に倉持さんの師匠として「GAME CENTERS IN OSAKA」への意気込みを聞かせてください。
マゴ:今回エキシビジョンマッチに参加する4人の中では、倉持が一番「ストⅤ」をやっていると思うので師弟で優勝を目指します。初戦で当たるしんじょう君が、あの手でどうやってプレイするのかも気になりますけどね(笑)。
取材・文:猪口貴裕
真鍋大度氏のインタビューはコチラ:「コンボが決まる気持ちよさは、音楽的な感じがするんです」真鍋大度氏が語るストリートファイターの魅力
イベント詳細
「ストリートファイター」と豪華メンバーで送るeスポーツPRフェス「GAME CENTERS」が始動!
対戦格闘ゲームというジャンルを確立し、「eスポーツ」の代表的なゲームとしても世界中で人気を博している「ストリートファイター」シリーズ。
誕生から30周年を経て、あらゆる世代を魅了した「ストリートファイター」を愛する出演者と共に、音楽、グルメ、コスプレ、たくさんの魅力を詰め込んだ「GAME CENTERS」をカプコンが本社を置く地元大阪で5/26(日)堂々開催!
チケット
ALL STANDING TICKET(+1D)
▼ADV TICKET
【Part1】前売入場料:3,000yen
【Part2】前売入場料:3,500yen
▼DOOR TICKET
当日入場料:4,000yen
▼SFV COSPLAYER PHOTO SESSION TICKET(コスプレ撮影会券)
【1部】:10,000yen 【3部通し】:25,000yen
※別途入場券が必要となります
チケットサイト:https://gamecenters.peatix.com/
チケットぴあ:Pコード(152221)
ローソンチケット:L-CODE(52166)
イープラス:https://eplus.jp/
公式サイト:GAME CENTERS IN OSAKA
チケットサイト:https://gamecenters.peatix.com/