2020年12月28日(土)に開催された格闘ゲームイベント「第9回TOPANGAチャリティーカップ」の参加チーム「ストリームモンスター」から、プロゲーミングチーム「Burning Core」所属の立川選手とかずのこ選手、そして有名配信者である加藤純一さんの3名へのインタビュー企画後編です。

前編では「TOPANGAチャリティーカップ」の感想やチームメンバーの話など、イベントに関する話をお伺いしましたが、後編では、注目しているゲームの話からプロゲーマーおよび配信者としての意識の部分など、3人の活動に纏わる話を伺うことが出来ました。ぜひ前編と併せてご覧ください。

――TOPANGAチャリティーカップとは少し離れて、今までのゲーム史みたいなものを簡単に教えてください。

立川:元々格闘ゲームしかやってこなくて。たまにFPSをやるんですけど、中学2年生から格闘ゲームを始めて「ストリートファイターⅣ」を6年ぐらいプレイして、その後「ストリートファイターV」、「ドラゴンボールファイターズ」と移行している感じですかね。基本格ゲーばっかりですね。

かずのこ:僕は最初「ドラゴンクエスト」だったりRPGを主にやっていたんですけど、高校生ぐらいの時に格ゲーを友達と一緒にやってから、格ゲーを好きになって、そこからは格ゲーしかやってないですね。

格ゲー以外だと、本当にゲームセンターで対戦台を待つ間に暇をつぶせる、「ぷよぷよ」「テトリス」をプレイするだけでしたね。格ゲーでいうと「ギルティギア」「キングオブファイターズ(KOF)」「ストリートファイター」「ドラゴンボールファイターズ」をやってる感じです。

加藤純一:僕が一番最初にハマったのが、高校一年生の時の「キングオブファイターズ98(KOF98)」ですね。高校生で時間つぶす場所といったらどこだろうって考えて、格ゲーを始めてから3年間、本当に毎日やってたんですよ。合計で100万円は使っていると思います。KOF98は死ぬほどやりました。今度、それでかずのこさんを倒します。

それで大人になって、ニコニコ動画で配信を始めてから、RPGだったりノベルゲーだったり、オールジャンルでゲームをするようになりましたね。知らなかった分お得でしたね。名作と呼ばれているタイトルを初見でプレイするところを皆さんに見てもらうことができて、それを面白がってもらえて、少しずつ配信に人がついてきて今に至るって感じですね。だから最初本当にハマったのは格ゲーですね。

――「ストリートファイターⅡ」もかなりやり込んだと聞きました。
加藤純一

加藤純一:「スーパーストリートファイターⅡX (スパ2X)」と「KOF98」はめちゃくちゃやりましたね。 さっきかずのこさんに負けちゃったんですけど(笑)。

加藤純一:上京してきて、渋谷の近くに住んでたんですけど、今はもうなくなってしまった「渋谷会館」に毎日入り浸ってましたね。

――先ほど話に出ましたが、格ゲーを触らなくなったきっかけは何でしょうか。

加藤純一:多分ストⅣぐらいの時に、世間に広がったのをきっかけに、プロゲーマーの方が少しずつ出てきたと思うんですけど、そうなるとネットが発達しているから、上手い人たちがプロの情報を調べるんですよ。そこから色々な細かい情報が拡散されて、全然勝てなくなってしまったんですよね。

情熱のある人はフレームだったり、細かい部分を研究して強くなろうとすると思うんですけど、僕は当時バリバリ病院で働いていたので、そこに時間を費やすことができなくて志半ばで挫折したっていうのがありますね。だから「ウルトラストリートファイターⅣ(ウルⅣ)」は一切触ってないんですよ。

本当はやりたい気持ちもあったんですけど、あまりにもゲームとしてのクオリティが高く、やれることも多くて。中途半端にやるのは嫌だったので、やらないっていう選択を取りました。

――格ゲーに限らず、他ジャンルの方との交流はあるのでしょうか。

立川:元々、前のチームに居たときには、チーム同士で仕事だったり、ご飯に行く機会が結構あったので、FPSの方とかで仲のいい方はチラホラいる感じですかね。すももさんだったり、ダステルボックスさんは仕事で一緒になったことをきっかけに、一緒にゲームをしたこともありました。

立川

――格ゲーだと、どなたが一番仲が良いのでしょうか。

立川:それは、かずのこさんですね。特に一昨年同じゲームをやり出したので。

かずのこ:一番対戦しましたね。本当にずっと一緒にやっていましたね。

加藤純一:ぶっちゃけそこの勝敗は正直かずのこさんが勝ってるんじゃ?

かずのこ:まあそうですね(笑)。後半は五分五分くらいになりましたけど。

――かずのこ選手はいかがでしょうか。

かずのこ:他ジャンルの方との交流は全くないですね。格ゲーだと、やっぱり立川ですかね。あとは前に所属しているチームのときであれば、ブレイブルー等で活躍しているソウジ選手だったり、まちゃぼー選手とかアーク系のプロゲーマーとは交流があります。今はあまりやっていないんですけど、ギルティギアのプレイヤーとは話したりします。

――加藤さんはプロゲーマーの方と繋がりはあるのでしょうか。

加藤純一:番組等に呼んでもらったりしたときに共演したプロゲーマーの方は、別の番組で呼んでくださいって形で僕が声をかけたりはあるんですけど、めちゃめちゃ仲が良くて、ご飯食べに行くっていうのは滅多にないですね。

極力邪魔したくないんですよ。プロゲーマー同士だとある程度生活スタイルとかが分かると思うんですけど、大会前とかに空気読まずに「ご飯食べに行きましょうよ。」って言って、それで何か成績が下がったりしたら最悪じゃないですか。だから、なにかのタイミングで一緒になった機会に話するぐらいの距離感の方が、お互いに楽かなって思っています。

――みなさん配信をされると思いますが、自身が配信をする上で心がけていることはありますか。

立川:僕は、色んな方面を敵に回さないように心がけていますね。元々そういう素質があったので(笑)。これはよくないなっていうのをチームメイトである、かずのこさんが体現していたので、初歩ではあると思うんですけど、そこは気を付けて楽しみながら配信していますね。

かずのこ:ゲームを楽しくやることを意識しています。楽しくやっているところを見せないと、ゲーマーとしてどうなのかなって思いますし、プロゲーマーではありますけど、元々ゲームが好きっていうところから始まっているので、つまらないなって思ってやるのは違うと思っていますね。

僕は基本対戦ゲームをやるんですけど、やっぱりムカつく瞬間が訪れたりするんですよ。そうなったらすぐに止めて、気持ちが落ち着くまでは離れて、配信ではやらないようにするのを心がけています。
かずのこ

加藤純一:やっぱり僕は2人と立場も違いますし、2人はチームを背負っていてスポンサーさんもいるわけじゃないですか。そこを配慮しなければいけない部分があると思うんですけど、僕は逆に自分本位でやってますね。どんなに敵がいようとも。

社会人を8年間やってきて思ったんですけど、全員が自分のことを好きになるなんてことは、あり得ないじゃないですか。どんな人格者でも1割は自分のことを嫌いになってしまう人はいると思うんですよ。僕は今リアルタイムで約3万人くらいの視聴者の方がいるんですけど、その1割って3000人じゃないですか。

分母が大きくなればなるほど、批判の声も大きくなっていくのは当たり前で、そっちの声ばっかりに耳を傾けすぎてしまうと残りの好意的な2万7千人の方を置いてきぼりにしてしまうことになるので、そういうことも踏まえて自分にとって都合のいい発言しか信用しないようにしていますね。

応援してくれる人の気持ちしか考えないようにしています。それが時として問題になってしまうこともあるはあるんですけど、それはしょうがないんです俺だから。仕方ない部分だと思うので、あんまり気にしすぎないようにしていますね。人としての尊厳が保たれる程度のモラルは持ちながら、警察に捕まらないことをモットーに配信してます(笑)。

――先ほどリアルタイム視聴者数が約3万人とおっしゃっていましたが、やはり多くの方に見てもらえているというのは嬉しいものですか。
加藤純一

加藤純一:嬉しいです。やっぱり当たり前じゃないと思うんですよね。朝起きて会社に行かずに、配信でお金を貰うって当たり前ではないと思いますし、皆さんが観てもらわないことには成り立たないものなので。

――3万人というのはすぐに超えたものなのでしょうか。

加藤純一:いや全然です。ここ1、2年の話ですね。1万人を超えだしたのも、本当ここ最近です。

――きっかけはありましたか。

加藤純一:YouTubeを始めたのが3年前ぐらいなんですけど、そのタイミングで仕事を辞めたんですよ。こうなるとやるしかないじゃないですか。そこで遠慮してたら自分の将来を捨ててしまうことになりますし、会社辞めるときに「僕は世界一になるから」って目標を立てて、YouTubeを始めたので本当に根性一つでやってきましたね。

――加藤さんのファンだとおっしゃっていた立川選手は、こういった姿を見てファンになったのでしょうか。

立川:僕はYouTubeを始める前のニコニコ時代から好きで、「アマガミ」を見てから漁って、「モンスターファーム」で泣いちゃって、この人本当にすごい人だなと思ってから色々見させてもらってます。

――ちなみにかずのこ選手は、加藤さんのことはご存知だったのでしょうか。

かずのこ:知ってました。ただ僕は実際に話さないと好きか嫌いかにはならないんですよ。

加藤純一:さすが、かずのこさんは(立川選手とは)違う。

立川:僕はミーハーなんで(笑)。

かずのこ:僕、凄い有名な人が来ると緊張しちゃって、中々打ち解けれなかったりするんですよ。前に歌広場さんが来た時にも緊張してしまって。勝手にシャイボーイになってしまう癖は直したいですね。ただ、その人の喋り方だったり話し方を見て好きか嫌いかにはなりますね。基本尊敬はしてますね。

――となると加藤さんは好きか嫌いかでいうと…。

かずのこ:もう大好きですね。

加藤純一:嬉しい!

かずのこ・加藤純一

かずのこ:真剣にゲームをやっている姿もそうですし、凄く気を遣ってくださるので。

立川:(加藤さんは)本当に言葉遣いが丁寧ですよね。僕が言うのは失礼かもしれないんですけど、礼儀が正しいと言いますか、配信上だと口が悪くなるシーンもあったりして、そういったイメージを持ってる方もいるかもしれないんですけど、僕らなんかよりよっぽど出来た人だと思いますね。

加藤純一:いやいやそんなことないって(笑)。

かずのこ:本当に凄い地位にいらっしゃるじゃないですか。僕も配信するので、加藤さんは配信の業界では大先輩でもあるんですけど、フラットな関係性でいてくれるんですよね。僕がその立場に居たら少なからず上から目線になってしまうと思うんですよ。

立川:それはかずのこさんも一緒ですよ。

加藤純一:本当そう!チームメンバーのこくじんさんに、他の人と変わらず、同じ目線でアドバイスをしてたんですよね。こくじんさんはプロゲーマーではないから、具体的なアドバイスはしないのかなって勝手に思ってたんですけど、対等な目線で会話をしていて凄いなって思いましたね。

立川:しかも、かずのこさんは僕のアドバイスを真摯に聞いてくれます。

かずのこ:いやほんとにそれは嫌われないようにしてるだけです。加藤さんぐらいの地位になったら分かんないですよ(笑)。なので加藤さんの立ち位置にいって、加藤さんのような立ち回りができたら人間として一人前ってことです。

――今後、新たな配信者やプロゲーマーが続々と増えていくと思いますが、そこは自身にとって脅威になると思いますか?

かずのこ:どっちかというと、この人が配信したら自分の数字が持っていかれるとかっていうのは、多分自分のファンではなくて格ゲーマーのファンってことじゃないですか。だから気にしないようにしてますね。自分のファンを増やしていって、自分のファンと楽しいことをするっていうのが正しいことだと自身で思っているので、そこを気にしてしまうとファンにも失礼になると思うので、ついてきてくれる方を大事にして他は気にしないようにしていますね。

立川:僕は正直、配信というものを主戦場としては扱えてないんですよね。いずれは大事になってくるとは思うんですけど、僕自身ゲームの中でまだまだやれることが沢山あるので、配信を通して自身がやってる取り組みを参考にしてくれる人がいればいいなってぐらいでやっていますね。

なので、ゲームを真剣にやっているところを見るのが好きなファンがついてきてくれたって印象ですね。

加藤純一:昔は嫌だったと思うんですけど、放送を10年もやっているので気にならなくなってきましたね。1週間見てなかったら、こんなに新しい人が出てきてたの?ってぐらい、ほんとに沢山いるんですよね。ただそこを倒そうとしないと、自分を見てくれる人は増えないと思いますし、ライバルの存在のような方が多くいてくれた方が自分にとってプラスになると思うので、「もっと出てこい!」って思ってますね。

だから最近、芸能人の方がYouTubeで動画配信されていたりするのは本当に嬉しいですね。今までYouTubeを見てなかった人たちが見てくれるようになって、その中にもしかしたら自分のことを好きになってくれる人もいるかもしれないので、たくさん出てきてほしいなって思ってますね。

――「esports」についてどう思っているのでしょうか。
立川立川:「esports」っていう言葉自体は僕ら用の言葉ではないと思ってるんですよね。どちらかというと一般層向けで、知らない方や会社に向けて入りやすくするための側面があると思うんですよ。現状esports大会自体、配信で見れてしまうところがあるので、もっと東京ゲームショウのような観戦が楽しくできるような場が増えたらいいなと思ってますね。

かずのこ:僕らにとっては、ありがたいワードですね。スポーツって言葉が入ることで、僕たちの活動をより浸透させてくれているワードだと思うので、助かってる部分はあるんですけど、スポーツ選手がどう思っているのかってところは気になるところでもありますね。

加藤純一:僕個人としては、アメリカだったり日本以外の人たちが「esports」って言ってる分には全然違和感がないんですよ。EVOの決勝戦でも、オリンピックに近い雰囲気を感じるんですけど、日本の国民性を考えたときに、あまりそこを想像することができなかったんですよね。僕自身昭和の人間なので、シンプルに「ゲーム大会」ってしちゃった方が親しみやすさが生まれるんじゃないかなって思ったんですよ。

「esports」って徳が高い感じがしません?僕自身プロゲーマーをみんな応援してるんですけど、ハードルが上がっちゃってる気もするんですよね。スポーツではないって思う方もいるでしょうし、「ゲーム大会」ってしてしまえば単純に熱狂しやすいのかなって思うんですよ。

テレビや企業が使う上で使いやすいっていう側面もあると思うので、「esports」ってワードで良いとは思うんですけど、僕自身は取っつきやすさとかを踏まえて「ゲーム大会」が一番いいかなって個人的には思いましたね。

加藤純一

――今年、注目しているタイトルはありますか。

かずのこ:「グランブルーファンタジー ヴァーサス」はやろうかなって思ってますね。それがどれくらい盛り上がるのかってところは、格闘ゲーマー全体の注目点だと思うので。「ストリートファイター」と同じくらい盛り上がってくれれば、いい刺激になると思いますね。流れによるとは思うんですけど、メインとして考えていますね。

立川:僕も全く同じです。もはやチームの方針レベルで、かずのこさんと僕でグラブルを盛り上げようぐらいの勢いですね。

加藤純一:僕は基本的に、今年の3月くらいに各社から「バイオハザード」や「ラストオブアス」などのビッグタイトルが出てくるので、やりたいと思ったものをやっていくだけですね。2人みたいに背負ってるものもないので(笑)。自分に合ったゲームをやりたいなって思ってますね。

――ちなみに直近でやろうと考えているタイトルを一つ上げるとしたら何でしょうか。

加藤純一:「バイオハザード3」のリメイクがもうすぐ出るので、そこはちょっと配信でも頑張りたいなって思ってますね。

――最後に、今年の抱負や目標を教えてください。

立川:まず今年の2月に「ドラゴンボールファイターズ」のLCQ(決勝大会の最終予選)があって、去年から決勝大会に出るために練習してきたので、LCQを抜けていいスタートを切れたらなって思ってますね。

ツアーを周るってこと自体が初めての経験だったので、その経験を活かして、今年のツアーも動きたいなって思ってますね。あとは配信をもう少しやっていけたらなって思ってます。

かずのこ:僕も2月にある決勝大会に出場することが決定していて、去年が優勝で世界一になったので、もちろん今年も優勝したいんですけど、去年に比べて自分が抜けて強いって感覚がないんですよね。自分が抜けてるって感覚がない以上他の選手のレベルが上がっていて、周りの方も抜けて強いとは思ってないと思うんですよね。

なので、そこを見返したいって想いはありますかね。あとは、ファンのために頑張りたいですね。ドラゴンボールファイターズ以外にも色んなゲームを触ってはきましたが、決勝大会で良い成績を出して、サボってなかったってことを証明したいと思います。

本当に今は2月の決勝大会しか見てないですね。そこ次第で自分の活動自体も変わってくるとは思うので、応援してもらえるとありがたいですね。

加藤純一:僕は前から言ってはいるんですけど、同時視聴者数10万人っていうのは死ぬまでに一回達成したいと思ってますね。毎年の目標で、去年最高で7万8千人までいかせてもらったんですけど、それ以降そこを超えていないので、今年はちゃんと記録更新できるような放送をしたいと思ってます。

今35歳で、40歳までモチベーションが続くか分からないので、毎日を人生最後の日だと思って配信していこうと思います。

かずのこ選手(写真左)
Twitter:@kazunoko0215
YouTube:かずのこチャンネルKazunoko

加藤純一氏(写真中央)
Twitter:@unkochan1234567
YouTube:jun channel

立川選手(写真右)
Twitter:@TachikawaBR
YouTube:Tachikawa立川