2019年12月1日、東京・品川「クラブeX」にて「ストリートファイターリーグ:Pro-JP operated by RAGE」のグランドファイナルが開催されました。
ドラフトまでの予選を含めると約半年以上も行われた今大会。選手の写真や大会の模様など合わせてご紹介いたします。
長きにわたるリーグ戦の王者が決まる!グランドファイナルレポート
左から、平岩康佑さん、並木万里菜さん、歌広場淳さん
左から、大和さん、ハメコ。さん
オープニングでは司会進行を務めた平岩康佑さん、並木万里菜さん、ゲストの歌広場淳さんとリーグ戦10節で実況解説を務めたハメコ。さんと大和さんが登場。これまでのリーグ戦を振り返りつつグランドファイナルの注目点などを解説していました。
本リーグは、1チーム3人からなる全6チームによる総当たりのリーグ戦。このリーグ戦を10節にわたり行い、グランドファイナル進出を決めたのは、マゴスカーレット(1位)、ネモオーロラ(2位)、フードガイア(3位)の上位3チーム。
最初に戦うのは予選3位のフードガイアと2位のネモオーロラ。
左から、ボンちゃん選手、ふ~ど選手、Shuto選手
この試合に勝ったチームがマゴスカーレットとともに、12月にアメリカ・ロサンゼルスで行われる日米決戦へ進出することができるということもあり、どの選手も気合十分の表情。フードガイアのリーダーであるふ~ど選手は「結構(決勝開催までの)期間が長くて事前練習をすごいできたので、今日の試合はすごい良い内容を見せれるんじゃないかなと思います。なので試合を楽しんで観てもらえたら。」と、ネモオーロラへの対策に自信ありのコメント。
左から、キチパーム選手、ネモ選手、竹内ジョン選手
対するネモオーロラの竹内ジョン選手は「今回のためにかなり練習を積んできて自信もあります。100回チーム戦をやったとしたら”200億万回”は勝てるかなってくらい自信はあるので、しっかり内容でそれを見せたいなと思います。」と、強気のコメントで会場を盛り上げていました。
ネモオーロラ VS フードガイア
グランドファイナルでは先鋒・中堅は1ポイント、大将2ポイント、そして1キャラクターをBANするのは通常節と変わらないものの、一巡で終わらず、6ポイント先取で勝敗が決まるルールとなりました。
最初の注目であるお互いのBANキャラクターは、フードガイアはザンギエフ、ネモオーロラはバーディーに決定。使用キャラクターであるザンギエフをBANされたキチパームは難しい表情を見せたのに対し、バーディーを使用しているふ~ど選手は驚きの表情。
一般的にザンギエフが不利と言われているバーディーをBANすることによって、ザンギエフがBANされなかった場合大将にキチパーム選手を配置できるという読みに基づいたBANでしたが、ここではフードガイアに有利に働くBAN選択となりました。
先鋒はキチパーム選手のアビゲイルとShuto選手のユリアンという組み合わせに。リーグ戦2位のネモオーロラは3位のフードガイアに対し1ポイントのアドバンテージがあるため、フードガイアはこのBANされたキチパーム選手に勝利しまずはポイントをタイに戻したいところ。しかし第一セットはアビゲイルの当て身技であるハンガビーなど、素早い反応を見せキチパーム選手が先制。サブキャラをしっかり仕上げてきたキチパーム選手が勢いのまま試合を取るかと思われたがShuto選手は落ち着いて対応。使用キャラであるユリアンのエイジスリフレクターを絡めた攻めを通しポイントをゲット。両チームポイントを五分の状態に戻し中堅戦へ。
中堅は竹内ジョン選手のラシードとボンちゃん選手のかりんの組み合わせ。今シーズン「Capcom Pro Tour」世界ランキング2位、世界最大の格闘ゲーム大会「Evolution」でも優勝のボンちゃん選手をいかに止めるかが注目でしたが、試合はまさかの竹内ジョン選手のストレート勝ち。相手のVゲージ、体力状況などをしっかり見極めCA削りで勝ちを確実にとる竹内ジョン選手が勝利しネモオーロラはリードを奪います。
1巡目最後の試合となる大将戦はネモ選手のユリアンとふ~ど選手のミカ。ミカに対してユリアンは守りが難しい組み合わせということもあり、ふ~ど選手のミカが怒涛の攻めを見せ押していく展開ではあるものの、ネモ選手が要所で大胆な攻めを見せ守りに回ることなくストレートで勝利。1巡目を終えてネモオーロラが4-1で大きくリードしました。
続く2巡目も両チーム同じオーダー。ここで負けると大手をかけられてしまうフードガイアでしたが、初戦Shuto選手がキチパーム選手に危なげなくストレートで勝利しなんとか次に繋ぐ。
ここで負けるわけにはいかないフードガイアでしたが竹内ジョン選手がボンちゃん選手相手にまたも先制。しかしここからボンちゃん選手が踏ん張りを見せ、かりんのしゃがみ中足のヒット確認やカウンター確認、ラシードのしゃがみ大パンチのスカりにかりんのしゃがみ大パンチで差し返すなど、とんでもない精度のプレイを随所に見せ勝利をもぎ取りました。
2巡目大将戦までなんとか持ち込んだフードガイア。ここでネモ選手が勝利すると勝負が決する大事な試合、先ほどと変わらず両者攻めに次ぐ攻めの展開。素早い試合展開の中両者セットを分け合い試合は最終セットに。
ここでネモ選手が相手の牽制技の合間を突き大胆な前歩きからプレッシャーをかけ技を通しラウンドを連取しリーダー自らチームを勝利へと導きました。
勝利後インタビューを求められたネモ選手は「ここ勝ったらアメリカで対戦できるので、これを通過できたのは嬉しいです。」とコメント。リーグ戦通じて大将戦での勝負強さについて問われると「大将対決ってチームメイトに迷惑かけたくないっていう気持ちが他のチームの方が強かったと思うんですよ。うちのチームは他チームとくらべると下の方のチームだと思ってたので、勝てたらいいなぁって感じで挑めてたのが良かったのかなと。」と、気負わず対戦に臨めていたのが勝利へのカギだったと答えました。
マゴスカーレット VS ネモオーロラ
左から、まちゃぼー選手、マゴ選手、ユージ選手
今リーグ優勝をかけて争う2チームはマゴスカーレットとネモオーロラの2チーム。試合前のコメントを求められたマゴスカーレットリーダーのマゴ選手は「我らがマゴスカーレットが勝つと思います。2D神故に。」と短くも自信あふれるコメントで会場を沸かせました。
そして注目のBANキャラクターはマゴスカーレットがザンギエフ、ネモオーロラがネカリをピック。試合前ネモ選手が「マゴさんと対戦できるので、BANしないで受け入れたいと思います。」という言葉通りまちゃぼー選手のネカリをBAN。しかしリーグ戦ではBANされて出てくるまちゃぼー選手の豪鬼が勝率100%を誇っておりこれがどう転ぶかに注目が集まりました。
先鋒はユージ選手の春麗とキチパーム選手のアビゲイル。BANされた同士の対決と思われましたが、マゴスカーレットは竹内ジョン選手のラシードとのキャラ相性を考えた上で、ユージ選手を先鋒に配置する作戦に。
体の大きなアビゲイルに対し、下に判定の強い春麗のジャンプ攻撃から起点を作りつつ対空でしゃがみ中パンチを置くなど随所に対策が光ったユージ選手が圧倒。先制に成功します。
中堅戦はまちゃぼー選手の豪鬼と竹内ジョン選手のラシードという組み合わせ。第一セットでは、「オート対空」と呼ばれるほどの対空精度を誇るまちゃぼー選手の対空により、地上戦に付き合わされてしまう竹内ジョン選手に対して、豪鬼のしゃがみ中キックと豪波動拳、ラシードのしゃがみ大パンチに対して垂直ジャンプを置くなど絶妙な間合い管理と立ち回りで完全にラシードの良さを封殺したまちゃぼー選手が先制。
続くセットではそこに飛びを加え、ラシードの対空をつぶす天魔空刃脚を混ぜるなど、バランス良く攻めたまちゃぼー選手がサブキャラクターとは思えぬ動きでストレート勝ちの展開に。
大将戦はマゴ選手のキャミィとネモ選手のユリアンという、格闘ゲームファンなら言わずもがなの因縁の組み合わせになりました。
第一セットはマゴ選手のキャミィの空中からのキャノンストライクやめくりで攻め立て、展開を早くし勝利。続く2セット目も勢いそのままに勝利するかと思われましたがマゴ選手がまさかのコンボを落としてしまい勝利確定を逃してしまいます。そしてお互いラウンドを取り合った最終ラウンド終盤、お互い同時に無敵技を打つという珍しい状況で着地ごネモ選手は中段攻撃、マゴ選手は投げを押し少しの差でマゴ選手の投げがが早く決まり勝利。1巡目で早くも4-0という状況になりました。
2巡目はお互い中堅を先鋒に配置するというオーダーで結果的に同じ組み合わせになり、まちゃぼー選手と竹内ジョン選手の戦いに。
先ほどの試合とは打って変わり、ラシードのEXワールウィンドで攻めを継続する動きと天魔空刃脚に対し空対空で対応するなど、柔軟性を見せた竹内ジョン選手がまちゃぼー選手の豪鬼にリーグ戦初めての黒星をつけ勝利。
続くユージ選手とキチパーム選手の戦いは1巡目と同じようにユージ選手が圧倒しこのままいくかと思われたがキチパーム選手が気を吐き両者1セットを分け合い最終セットにもつれ込む展開。しかし最後はメインキャラクターとサブキャラクターの練度の差が出たか、ユージ選手が押し切りマゴスカーレットは優勝にリーチをかけます。
大将戦はネモ選手、マゴ選手ともに1セットを取り合った後、最後のセットではネモ選手が相手の飛びを見てからのエイジスリフレクター→デンジャラスヘッドバット→しゃがみ大パンチかす当たり→メタリックスフィア→チャリオットタックルからのCAという会場からもどよめきが起きるほど完璧なコンボ・リーサル判断で勝利。望みを3巡目までつなげました。
3巡目、あと1ポイントで勝利のマゴスカーレットは先鋒にマゴ選手が登場。ここで試合を決めにいくという作戦に。対するネモオーロラは竹内ジョン選手が登場し、マゴ選手のかりんと竹内ジョン選手のラシードという組み合わせになりました。
マゴ選手は深く相手の懐に踏み込み、相手が動いたところにしゃがみ中キックから天狐とコンボをつなげダメージを相手に与えていきますが、竹内ジョン選手も踏み込みガードで相手の中足のヒット確認ミスを誘います。それに対しマゴ選手は相手が固まったところに投げを多めに取り入れダメージを稼ぐ展開に切り変えるなど早めの対応が光り相手を翻弄。試合はそのままマゴ選手がストレートで勝利しマゴスカーレットが優勝を飾りました。
優勝を決めたマゴスカーレットの選手たちはそれぞれ以下のようにコメント。
マゴ選手:本当にチームメイトに恵まれました。まちゃぼー、ユージくん、共にめちゃくちゃ活躍してくれて、僕一人では優勝できなかったと思ってます。これから日米戦とかもあるんですけども、今回優勝できたのはネモさんが僕のことを受け入れてくれたからかなぁって思ってます。本当にネモさん、ありがとうございました!!!
まちゃぼー選手:私事なんですけど、このリーグが始まる前にちょうど母が入院してしまって結構キツイ状態とかあったんですけど、自分に与えられた試練だと思って頑張って、母も無事で自分も優勝できて、試練を乗り越えられた気がしてすごい嬉しいです。でもまだ日米戦もあるので向こうでも優勝して、できればCapcom Cupも優勝してハッピーに終わりたいなと思います。
ユージ選手:僕個人では今までこんな結果を出したことがなかったんですけど、チームの先輩2人の力を借りてこんなすごい結果をだすことができたのは本当に嬉しいなと思います。まだ先があるので日米決定戦に向けてもう少し頑張りたいなと思います。
優勝したマゴスカーレットと準優勝のネモオーロラは12月14日~15日に行われる「ストリートファイターリーグ WORLD CHAMPIONSHIP 2019」に出場が決定。「ストリートファイターリーグ:Pro-US」のTeam GALEとTeam FROSTを合わせた4チームで優勝を争うことになります。
そしてWORLD CHAMPIONSHIPではさらにルールが追加されることが発表。BANの対象を2つに増加、そしてシールドシステムを追加し1キャラはBANを確実に逃れることが可能になりました。これによりネモオーロラのキチパーム選手のザンギエフのように毎回BAN対象にされていたキャラクターが登場する確率が上がりました。
さらに来季のストリートファイターリーグについても説明がありました。来季は全国各地方、企業と協力しプロ選手がチームを組むという形になるとのこと。
12月に日米戦やCapcom Cupなどイベント盛りだくさんのストリートファイターシーンから目が離せない展開になっています。
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