2019年9月14日(土)~15日(日)にかけ幕張メッセの東京ゲームショウ2019(TGS 2019)内で開催された「ストリートファイターV アーケードエディション」カプコン公式大会「CAPCOM Pro Tour(CPT) 2019 アジアプレミア」。

約1000人を超える参加者に加えて、国内で行われる唯一のCPTでありんがらスーパープレミア大会に指定されていることもあり、海外の有名プロ選手も多く参加した本大会決勝ラウンドには多くの観客が来場しました。

予選を通じハイレベルな大会が繰り広げられたTOP8の試合を写真とともにお届けいたします。

TOP8ウィナーズ側

第1試合 マゴ選手VSBigbird選手

ウィナーズ側1試合目の組み合わせは、8月に行われた世界最大の格闘ゲーム大会「EVOLUTION(EVO) 2019」で2位の好成績を記録したBigbird選手と、CPT前半戦のポイントレースで苦しい思いをしていたものの、前回の中国プレミア大会で3位に入賞し復調の兆しを見せているマゴ選手の戦いに。

1セット目はマゴ選手が使用するキャラクター「かりん」のしゃがみ中足ヒット確認が冴えわたり、マゴ選手が危なげなく勝利し最高の立ち上がりを見せる。しかし2セット目Bigbird選手のキャラクター「ラシード」のEXワールウィンドが通り始め、すぐにセットカウントを1-1に戻す。

ここをとれば先に大手をかけることができるので、大事な試合となる3セット目。マゴ選手の打撃がかなりヒットする展開に加え、Bigbird選手の起き上がり無敵技もしっかり読み、最後はコンボミスになるも結果的にダブルアップに成功し倒し切ったマゴ選手が先に大手をかけるも、Bigbird選手も地上戦が厳しいと見るやすぐにジャンプなどを混ぜ様々な方法で崩しセットを取り返し試合はフルセットまでもつれる展開に。

最終セットはお互いにラウンドを取り決着は最終ラウンドへ。最終ラウンド、マゴ選手はBigbird選手の体力をギリギリまで追い詰めダウンを奪うも、起き上がりの無敵技を警戒したマゴ選手の後ろ下がりに対し、Bigbird選手はしゃがみ中足で暴れ、さらにクリティカルアーツまでつなげるという選択肢を通し勝負は全くわからない状況。

さらにBigbird選手はVトリガー1イウサールを発動し有利な状況を作りつつ、イーグルスパイクで攻撃を試みようとしますが、それを読んだマゴ選手はバックジャンプ中足で対応しBigbird選手に勝利しウィナーズファイナルへと駒を進めました。

実はこの試合の最終局面のK.O.シーンはEVOグランドファイナルとほとんど同じ決まり方でした。

 

第2試合 ももち選手VSAngrybird選手

ウィナーズ側2試合目は「コーリン」を使用するももち選手と「是空」を使用するAngrybird選手の組み合わせ。開始直後、ももち選手はジャンプを見せアグレッシブな動きを見せながら、相手のダッシュはしっかり止めてラウンドを選手。さらに次のラウンドではAngrybird選手の起き上がり無敵技を2度も読み勝ち、大ダメージをいれ1セット目を先取。

2セット目をなんとかAngrybird選手が取り返すも、3セット目ではAngrybird選手の削りK.O.を見据えた起き上がりクリティカルアーツを読み、EXバニティステップで回避し反撃を入れ勝利。4セット目でもスライディングからのVトリガー発動を読み切り、当て身技であるEXフロストタッチをヒットさせ、鋭すぎる読みを見せたももち選手がセットカウント3-1でウィナーズファイナルへと駒を進めました。

TOP8ルーザーズ側

第1試合 Shuto選手VSときど選手

ルーザーズ1試合目はShuto選手とときど選手という日本の若手ベテラン対決となりました。試合展開はお互い無敵技を起き上がりにぶっ放すなど激しい攻撃を打ち合う殴り合いの展開に。スピーディーな展開でお互い1セットずつを取り合った後、Shuto選手がときど選手の無敵技をガードしたり、使用キャラクター「豪鬼」の斬空波動拳をくぐって対空するなど、読みや対策が冴えときど選手を寄せ付けず3-1で勝利を収めました。

Shuto選手は勝利の瞬間席を立ち大きく吠えながらガッツポーズ。その姿に会場も大きく盛り上がりました。

第2試合 Phenom選手VSガチくん選手

続くルーザーズ2試合目はヨーロッパの強豪選手であるPhenom選手とそれに対するは昨年のCapcom Cup覇者であるガチくん選手の対決。攻めのバランスや要所での読みあい、そして堅実な立ち回りと文句なしの動きを見せたガチくん選手が3連続でセットを奪いPhenom選手に何もさせず圧勝。

Phenom選手が使用する「かりん」のしゃがみ中足始動の技をほとんど機能させず、前日の予選でTOP8を賭け戦った世界ランキング2位のPUNK選手に引き続き、連続で海外の強豪「かりん」使いを撃破しました。

ルーザーズクウォーターファイナル

第1試合 Angrybird選手VSShuto選手

続いての対決は Angrybird選手とShuto選手の同い歳対決。お互い鋭い攻めを武器にする選手がゆえ、激しい攻めの応酬の展開が続きます。しかし、Shuto選手が使用する「ユリアン」の強力なVトリガー1エイジスリフレクターに対し、発動タイミングをとがめるクリティカルアーツや「是空」の韋駄天ですり抜けるなど要所で対策がハマりAngrybird選手が3-1で勝利を収めました。

第2試合 Bigbird選手VSガチくん選手

続く対決はお互いがレッドブルアスリートであり、さらにメインキャラクターも同じ「ラシード」というミラーマッチとなったBigbird選手とガチくん選手の対決。と思われたのですが、Bigbird選手がまさかの「バーディー」をカウンターピック。意外な選択に会場からはどよめきが起こりました。

実はBigbird選手は試合直前にこんなツイートを。


このスーパープレミアという大舞台で普段の使用キャラではない「バーディー」を使用する大胆な戦法に出ました。

キャラクターの練度の面でメインの「ラシード」よりは劣ると思われたBigbird選手の「バーディー」ですが、逆に対戦相手のガチくん選手が、自身のメインキャラクターを使用していることもあり対応は万全。セットカウント2-1と先に大手をかける予想外の展開。

しかし、ここで一度ガチくん選手がキャラクターセレクト画面に戻りインターバルを挟み「ラシード」のVトリガーをイウサールからアーシファに変更。すると、流れは一転してガチくん選手のペースとなりセットカウントを2-2に戻し最終セットへ。最終セットはフルラウンドにもつれる接戦となりましたが、最後は空中イーグルスパイクを当てクリティカルアーツでフィニッシュしガチくん選手が勝利。

この試合、Bigbird選手の「バーディー」がトッププレイヤーのガチくん選手に十二分に通用しているところを見ると、今後のCPTでピックする可能性はあるかもしれません。

ウィナーズファイナル

マゴ選手VSももち選手

ウィナーズファイナルはももち選手とマゴ選手という格闘ゲームファンにとってたまらない組み合わせに。九月から調子を上げることから海外では「September MAGO」という愛称で呼ばれマゴ選手が勢いそのままに行くのか、それとももち選手が止めるのか注目が集まったこの試合。

序盤、互いに相手の強い技を中間距離で間合いを管理し相手の技を差し返し合いながら、時に深く踏み込みガードして、相手の通常攻撃に仕込んだ技を漏らさせようとするジリジリとした地上戦の展開。ただ、対Angrybird戦でも見せたももち選手の鋭い読みがここでも炸裂。相手のVリバーサルや起き攻めにEXフロストタッチの当て身が刺さりセットカウント2-0と大手をかける。

その後なんとかマゴ選手が1セット取り返すも、最後まで冷静に差し替えしなど、手堅い立ち回りでももち選手がグランドファイナルへの切符を手にしました。

ルーザーズセミファイナル

Angrybird選手VSガチくん選手

今大会TOP8前の予選ラウンドでこの二人はすでにあたっており、その際はAngrybird選手が勝利していました。つまりこの試合はガチくん選手にとってはリベンジマッチとなる組み合わせ。

「ラシード」に対する対空手段が難しい「是空」ですが、Angrybird選手は前歩きでくぐってやり過ごす対策を見せるも、細かいミスを確実に咎めたガチくん選手が2-1でセットカウントで大手をかける。さらにガチくん選手がラウンドを取り有利な状況だったが、ここでAngrybird選手の三角飛びのフェイントにつられ強スピニングミキサー対空を出すミスから反撃開始。その後続けて立ち強パンチに仕込んだアサルトロールが漏れそれを確実にお仕置きしラウンドを死守。ここから流れがAngrybird選手に傾きセットカウントを2-2に戻すと、最終セットは飛びや暴れを通したAngrybird選手が押し切り勝利しました。

ルーザーズファイナル

マゴ選手VSAngrybird選手

このルーザーズファイナルは、グランドファイナルへの切符をかけた試合であると同時に、CPTポイントレースにおいて2位500ポイント、3位300ポイントという大きな差が生まれる試合。

最初の2セット、Angrybird選手が速い展開に持ち込みマゴ選手から立て続けに連取し、早くもセットリーチをかける。続く3セット目では先にラウンドを取るも、2ラウンド目で相手の体力がギリギリで残ってしまい逆転され悪い流れのマゴ選手。3ラウンド目でもAngrybird選手の飛びが機能しさらに追い詰めらるが、最後に中パンチの暴れからVトリガー発動で何とかセットを奪取する。

まだ気の抜けない状況ではあったがここからマゴ選手の動きが冴えわたる。相手の中距離での技振りに対ししっかり立ち中パンチで差し返しリターンを取って試合を有利に進めながらも、紅蓮拳から中段の派生で奇襲、相手のスライディングからのVトリガーを読んだバックステップからのしゃがみ中足での差し返しなど、素晴らしい内容で2-0から3連勝でグランドファイナルに進出。

グランドファイナル

マゴ選手VSももち選手

グランドファイナルはウィナーズファイナルと同じこの二人の組み合わせ。マゴ選手はウィナーズファイナルでの立ち回りとは変わり、相手の火力の高い技の圧に屈さず深く踏み込み打撃を当てに行くスタイルに変更。これがはまったか1セット目はマゴ選手が先制。

しかしももち選手はこれにすぐに対応。前ステップを多用するマゴ選手に置き技を増やし相手の踏み込みをつぶして2セット目、3セット目を連取。

マゴ選手にとっては後がなくなった第4セット目。互いに1ラウンドずつとった3ラウンド目、お互い体力を削り合い残り10秒まで勝負が決まらない状況。本当にわずかの体力リードを奪っていたマゴ選手にももち選手がEXバニティステップでジャンプ軌道の奇襲を仕掛けますがそれをしゃがみ強パンチで対空するファインプレーでしのいだマゴ選手が勝ったように見えたが、残り3秒でももち選手が放った大足がまさかのクラッシュカウンター。受け身を取ることもできず反撃のチャンスを失いそのままゲームセット。優勝はももち選手が手にしました。

CAPCOM Pro Tour 2019 アジアプレミア優勝はももち選手

優勝したももち選手は感想を求められると「普段練習していることが出せて良かった。最近はオンラインでの練習になっているんですけど、個人配信で(ラウンジ)に入っていただけるリスナーの方のおかげでできた優勝だと思うのでこれからもよろしくお願いします。ありがとうございました。」とコメント。

さらにグランドファイナルで対峙したマゴ選手については「マゴという選手はすごい気持ちのブレ、波があるというか、強いときすごい強いんですけど弱いときものすごい弱いんですよ(笑)。ただ、今日はものすごい強いマゴでしたし、調子をすごい上げてきているので今後怖い存在になりそうだなと思います。」と旧知の仲であるゆえの感想を述べました。

ももち選手にはアジアプレミア優勝の盾、I-O DATAのゲーミングモニター「GigaCrysta」の授与が行われましたが、賞金の500万円については日本eスポーツ連合(JeSU)のライセンスを受け取っていないため舞台上で賞金については触れられませんでした。

今大会では若手選手のTOP8入りやポイントレースで苦戦していた選手の躍進などで、CPTランキングに変動が起きさらに熾烈な争いが今後繰り広げられることでしょう。

決勝大会の模様はこちらから。
capcomfighters_jpのストリートファイターV アーケードエディション CAPCOM Pro Tour 2019 アジアプレミア 決勝戦をwww.twitch.tvから視聴する