人気バトルロイヤルシューター「Apex Legends」の世界大会「Apex Legends Global Series」の日本予選にて1位を獲得し、3月に行われる世界大会への切符を掴んだ新進気鋭のチーム「SCARZ White」のメンバーにインタビューさせていただきました。
日本予選・世界大会に関する話はもちろんのこと、それぞれの役割やSCARZ加入に至った経緯など、様々な話を聞くことができましたので、ぜひご覧ください。
STEEEAL選手
Twitter:@STEEEAL_FPS
配信:SZ_STEEEAL
Lejetta選手
Twitter:@apexlejetta
配信:lejetta
Otogi選手
Twitter:@tweet_otogi
配信:otog1
Rumadコーチ
Twitter:@Rumaaaaaaad
配信:Rumad(フォロマキ)
――Apex Legendsの競技シーンに来たきっかけを教えてください。
STEEEAL選手:元々Apexを始める前はやりたいゲームもなくて、「OverWatch」に帰ろうかなって思っていた時にApexのリリース情報が出て、やってみようかなと思って始めたのがきっかけですね。
元々は「Fortnite」の競技シーンにはいたんですが、現在はApexの競技シーンで選手をしています。
Lejetta選手:元々「PUBG」と「Fortnite」をやっていて、諸々の理由により「Fortnite」に移行したんですけど、自分がローセンシ※でプレイすることもあって、腕を動かすのが大変だなって思っていた時にApexがリリースされて。キャラクターだったりが好みなので今もやり続けてる感じです。
僕自身は、他のゲームで競技シーンにいたことはないのですが、「CS:GO」や「PUBG」「Fortnite」など色々やってきました。
※ローセンシ:低感度のマウス設定。
Otogi選手:元々「PUBG」をやっていて、「PJS」を目指してやってきたんですが、年齢の問題とかもあって断念しました。そこから「League of Legends(LoL)」をプレイしていて、LoLのフレンドからApexを紹介されて、今に至る感じですかね。
どのゲームも競技シーンにはいませんでしたが、スクリムにはよく参加していました。
Rumadコーチ:元々競技シーンにいまして、様々なFPSでプレイしてきましたが、今はコーチをやらせてもらっています。元々「PUBG」のコーチをやっていたんですが、現在休止中ということもあり、自身でも「Apex Legends」はプレイしていたので何か力になれればと思いコーチとして入っています。
――それぞれのロール※はどのように決めたのでしょうか。
※ロール:ゲーム内での役割。
STEEEAL選手:マネージャーが決めてますよね。
マネージャー:僕がリクルート権限を持っているのですが、あとからロールを決めたのではなく、元々それぞれのロールで強い選手がチームに集まった形になります。
Lejetta選手:そのロール専門に近いですかね。
――ロールによって各々動き方が違うと思いますが、それぞれ何を意識していますか。
Lejetta選手:僕はレイスを使っているんですけど、レイスがオーダー※になければならないと思っていて、そういった部分を海外だったり、日本の選手から学んでいますね。あと絶対撃ち合いに負けちゃだめなロールなんですよね。なので撃ち合いに絶対に勝つことは意識してますね。
※オーダー:チームの指揮を取る人。インゲームリーダー(IGL)。
STEEEAL選手:サポートが一番大事なところなので、レイスももちろんダウンしてしまう場面は出てきてしまうと思うんですが、極力ダウンさせないようにシールドを張ることやアルティメットスキルを使うことを意識しています。基本はサポートですね。
Otogi選手:基本は僕もサポートです。アルティメットスキルを使うタイミングは大事だと思っています。タイミングを間違えると危機的状況になりかねないので。あとは、ひたすら敵が来ることを想定して、敵が来ても来るまで時間をかかるようにフェンスを置いたりするといったことをしないとやられてしまいます。連携が大事だと思います。
――やはりロールによって、意識的に持つ武器は変えているのでしょうか。
Lejetta選手:そうですね。優先度はあります。僕は「R-99」と「ピースキーパー」を優先的に持っています。
STEEEAL選手:ジブラルタルは「ピースキーパー」必須で、あと最近は「R-99」も優先してはいるんですが、ない場合は「R-301」や「フラットライン」といったアサルトライフルの武器を使うようにしていますね。
Lejetta選手:なので、ワットソンが一番優先度が低いですね。
Otogi選手:基本僕は余りものを使う感じですね(笑)。最近は「ウイングマン」を使っています。
――スナイパーライフルのような遠距離武器は使用されないのでしょうか。
Lejetta選手:僕らのチームでは使わないです。僕らの立ち回り上、あまり遠距離での戦闘がないので、基本近距離武器をメインで使っています。
――日本予選では予選ラウンド、決勝ラウンド共に1位でしたが、この結果は振り返ってみていかがですか。
Lejetta選手:正直自信はありました。このメンバーなら勝てるなって印象だったので。ただ、日本予選で3勝もできるとは思ってなかったです。
STEEEAL選手:安地※読みが完璧でしたね。
※安地:安全地帯。サークルの中のこと。
Lejetta選手:ただ、思い通りにいかないこともあって連勝ができなかったんですよね。なぜか勝った次のラウンドは調子が下がってしまい、勝てないってことがあったので、そこは世界大会に向けて直していかなければならない部分だと思っています。
――コーチとしては、この結果をどう感じましたか。
Rumadコーチ:結果としてはよかったですね。ただ、Lejetta選手がチームを引っ張っていく存在だとは思うんですけど、チームメイトに断言できないところがありまして。「こうしたほうが良いよ」などといった提案ではなく、「こうしなさい」って形でチームメイトに伝えないと迷いが生じてしまうと思うんですよ。なので、そこを世界大会までにできるようにしていけたらなと思いますね。
――意識しているチームはありますか。
Lejetta選手:僕は個人になりますけど、TSM所属のImperialHal選手ですね。ずっと前から大好きで、尊敬もしていますし、倒したい相手でもあるので。
STEEEAL選手:周りでジブラルタル使ってる人を考えてみたんですけど、意外といないんですよね。世界的にみてもEUくらいなので、チームとして戦ってみたいところであれば「Luminosity Gaming」ですね。
Otogi選手:T1(SKT)の選手ですね。当たってみたいです。
――世界大会では様々な方に会うことができるチャンスの場でもあると思いますが、選手やストリーマーで会いたい方はいますか。
STEEEAL選手:大会で来られるかはわからないですけど、僕は関さん(Stylishnoobさん)ですかね。観に来てくれたらいいなって思ってます。選手でいうとやっぱりAURA esportsのRas選手ですかね。握手したいです(笑)。
Lejetta選手:やっぱりTSMの選手ですかね。
Otogi選手:僕はT1ですね。
――普段のゲームとスクリムで意識することの違いはありますか。
Lejetta選手:正直全然違いますね。僕的にはカジュアルやランクマッチでは練習できないですし、スクリムじゃなければちゃんとした練習にはならないと思っています。
STEEEAL選手:あえて言うなら安地読みになりますかね。ランクマッチだと漁夫※対策を意識しなければならないとは思うんですけどね。
※漁夫:漁夫の利。
――やはり立ち回りが大事なんですね。
Lejetta選手:そうですね。立ち回りがちゃんとしていないと絶対負けてしまいますし、撃ち合い以前の問題だと思うので、一番大事だと思っています。
――チームの強みを教えてください。
STEEEAL選手:全部ですね(笑)。
Lejetta選手:あとは大会でも緊張しなかったことですね。全力で勝つことを目指して普段通り出来たので、リラックスしてプレイできるっていうのは強みかなと思いますね。
Otogi選手:普段通りのパフォーマンスができるところですね。
Rumadコーチ:Lejetta選手にリーダーシップがあって、そこに2人がついていこうという姿勢があるので、そこは強みなのかなと思いますね。
――チームの仕上がりの部分を教えてください。
Lejetta選手:僕から言わせてもらえば、10%もないですね。日本予選のことは考えず、また1からやり直しって形ですし、新しいシーズンが始まって、マップの仕様や安地も変わったので、本当に0からだと思うので10%も満たしてないです。
STEEEAL選手・Otogi選手:全く同じ意見です。
――始まったばかりの、Apex競技シーンに対して何か思う所はありますか。
Lejetta選手:もっと早く競技シーンとして展開してほしかったなって想いはありますけど、希望としては、他の競技シーンと同じように日本のプロリーグみたいなものができればいいなと思っています。
あと選手的には、メタを頻繁に変えないでほしいなって想いがあると思います。アップデートで仕様が全然変わりますし、大会1ヵ月前でこんなに変えるのかってぐらい変えるので、そこはちょっとやめてほしいかなってところですね。
STEEEAL選手:僕はやっぱりエンジンエラーが気になりますね(笑)。良い所としては、1つのマップを改変して使っていくっていうのは良いところだと思いますね。
Otogi選手:大会のスパンが短いので、もう少し休みを作ってもらえたらなとは思いますね。良いところはワットソンが可愛いところです(笑)。
――新レジェンド「レヴナント」が登場しましたが、競技シーンで使用されることはあると思いますか。
Lejetta選手:全くないんじゃないですかね。入る余地がないと思います。4人部隊とかであったなら可能性はあったのかもしれないですけど、3人なのでないと思います。やっぱりスキルが物足りないですかね。
――Apex Legendsをプレイしている、ほとんどの方の目標がマスターランクやプレデターランクだと思いますが、そこまでに到達するコツやオススメの練習法があれば教えてください。
STEEEAL選手:僕はシーズン1の時、アマチュアチームにいたんですけど、ダイヤランクに行ってから、もみくちゃにされたんですよね(笑)。なので、まずはもみくちゃにされて、そこから学びを得て次に活かすっていうのがいいかなと思います。
あと一言いうなら「敵を倒すのも大事だけど、漁夫には気をつけろ」。
Lejetta選手:凄い上手いプレイヤーの真似をするのはないかなって思います。そういうプレイヤーは敵をなぎ倒してランクが上がっていると思うんですけど、普通のプレイヤーではそれが中々できないと思うので、安置読みだったり、漁夫を意識することがランクを上げるコツかなって思います。
Otogi選手:ハングリー精神が大事ですかね。戦うことを意識をすることは大事だと思います。あとは反省ですね。僕も夜にノートをつけて反省点を洗い出すといったことをしてます。
――ちなみに相手チームの研究等はされたりするのでしょうか。
Lejetta選手:なかなかチーム全部っていうのは厳しいかもしれないんですけど、基本戦ってて、どのチームと当たってるのかは動きで分かったりしますね。ただ、ランドマーク(降りる場所)が被っている敵チームは研究しますね。
――基本的に降りる場所を決めてるんですね。
Lejetta選手:そうですね。僕らは基本「仕分け工場」に降ります。物資も集まりやすいですし、マップの真ん中寄りで移動もしやすいですし。
――プロチームに入ってから、意識や生活は変わりましたか。
Lejetta選手:やっぱり変わりましたね。今はSCARZに迷惑をかけてばかりの人間なので、これから結果を残して成長していかないとなって思っています。
STEEEAL選手:成績って部分を見られるところではあると思うので、そこは意識するようになりましたね。
Otogi選手:(前より)寝れなくなりました。
全員:(笑)
――チームの雰囲気としては、仲良く穏やかな印象を受けたのですが、どうでしょうか。
Lejetta選手:いやそんなことはないと思いますね。僕が結構厳しめに言ってしまうところもありますし、現状チームとして反省するところもあるので、そこは直していきたいと思っていますね。
――ちなみにチーム同士では、どんな会話をしたりするのでしょうか。
Lejetta選手:基本はスクリムの話ですかね。あとは世間話で、どの配信者が可愛いみたいな話をしたりしています(笑)。
――世界大会の目標はありますか。
Lejetta選手:上位入賞ですね。現状そこまでいける実力では今の所ないと思うので、これからだとは思いますが、目下の目標はそこになりますね。
――今後、世界大会に向けて重点的に取り組もうと思っている事はありますか。
Lejetta選手:今の現状を考えたら全部足りていないです。日本予選1位にはなれたんですけど、それは世界大会では関係ないですし、1から全てをやっていこうと思っています。
Rumadコーチ:細かい部分の話はまだ出来ていないんですけど、やはりチームワークを深めていってほしいなと思いますね。やっぱりチームで戦うに当たってお互いに敬うことが大事ですし、パフォーマンスの向上にも繋がると思うので、そこに重きを置いていますね。立ち回りとかそういった部分は時間をかけて徐々に積み重ねていくものだと思うので、まず僕としてははそこですね。
――初の世界大会になると思いますが、緊張はしていませんか。
Lejetta選手:緊張はしないと思うんですけど、環境が変わるっていう所だけが心配ではありますね。椅子の高さだったり細かな部分で普段との違いが出てくるものだと思うので、そこが懸念点ですね。
Otogi選手:僕も環境の変化に耐えれるかなってところだけが心配ですね。
STEEEAL選手:僕はとにかく楽しみですね。早く出たいです。
――世界大会で強敵になりそうだと思うチームや選手はいますか。
Lejetta選手:やっぱりRas選手ですね。
STEEEAL選手:そうですね。そこは間違いない。あとはNatus Vincere(NaVi)の選手は強いですね。
Otogi選手:(EU予選1位の)Kebabrullaですかね。
Lejetta選手:たしかにね。謎のチームではあるけど、強いことだけは間違いないですね。
――海外選手のプレイを見て自身のプレイに取り入れたりすることはあるのでしょうか。
Lejetta選手:僕はかなり取り入れてます。さっきも話に出したんですけど、TSMのImperialHal選手の動画は、自分がプレイしている時間より長いんじゃないかってぐらい観ていますし、勉強しながらプレイを取り入れたりしていますね。
STEEEAL選手:周りのチームをみても、ジブラルタルを使ってる人が少ないんですけど、一番身近なDETONATORのLEIA選手の配信を観て勉強しています。
Otogi選手:僕はインファイト中の回復のタイミングとかを海外の配信を観て勉強しています。回復を挟めるか挟めないかでは大きな違いがあるので。
――最後に今後に向けて意気込みをお願いします。
Lejetta選手:プロチームに所属するのが初めてで、今回日本予選1位という結果を出すことが出来たので、そこに乗っていきたいという気持ちと、世界大会上位入賞は狙っていきたいですね。僕自身まだまだではあるんですけど、これからも成績を伸ばしていって、一番強くなりたいと思っているので頑張っていきたいです。
Otogi選手:とにかく勝って世界1位を本気で目指します。
STEEEAL選手:僕は世界1位のジブラルタルになれるように頑張りたいと思います。
Rumadコーチ:今回日本予選1位という結果がついてきましたけど、世界大会でも結果を残してほしいですし、なんとかして勝つみたいな形ではなく、他を寄せ付けず圧倒する形で勝ってほしいなと思います。
日程:2020年3月13日(金)~3月15日(日)
場所:アメリカ・テキサス州 Esports Stadium Arlington
参加総数:100チーム
賞金総額:約5,490万円