超個性的メンバ構成!LoL日本代表選手から高校生ミスコンファイナリストまで集結。2019年12月「第2回全国高校eスポーツ選手権」で劇的な優勝を飾り、“実力派+異色のメンバ構成”で話題になったN高のLoLチーム。決勝大会当日の裏話や練習での出来事はもちろんのこと、ゲームに対する世間からの目、通信制高校としての練習&コミュニケーション面など、最先端の学び方&遊び方を突き進む彼らに本音を聞いてみた。

(写真左から)
Marimo選手(以下:まりも)
Vandolp選手(以下:ひかる)
WhiteandPink選手(以下:かまぼこ)
Shakespear選手(以下:みゆう)
目次
決勝の名シーンを振り返る
――決勝1戦目にエルダー獲られたあとの展開、明らかにチーム全体の動きが変わったように思えました。あれはチーム内の誰からの指示だったのでしょうか?
ひかる:リーダーのまりもですね。
――全体的にリーダーのまりもくんが司令塔になっていると思うけど、自分の動きだけじゃなくて、味方全員の動きにも注意しないといけないのは大変?
まりも:味方が動く前に、自分で味方を動かすことを意識していますね。動いたあとの味方を動かすのは無理なので。自分がある程度管理できるようにしています。たまにみんな無言で動き出すので、その時は大変です。
ひかる:ああいうときは衝動だよ!衝動!(笑)
対極な実力者同士(ひかる×まりも)のコンビネーション
――特に今回、まりもくんの指示が上手くハマった場面を挙げるとしたらどの場面?
ひかる:やっぱ、決勝1戦目のバロンのところかな?
まりも:エルダーを獲られたあとに一度引いて。相手がバロンを触り始めたら、僕とひかるでテレポートを決めて、BOTから本陣を叩こうって作戦でした。
ひかる:実際、その作戦が上手くいって、そのまま一瞬で終わったもんね。相手がバロンを触り始める1分前には、まりもからその指示が出ていました。
※決勝1試合目終盤、vandrop選手(ひかる)のBOT攻めにmarimo選手(まりも)がテレポートを合わせて合流、瞬く間に敵ネクサスを陥落させた
まりも:確実性のある動きではなかったので、”賭け”のような選択をした自覚がありました。
不利な状況で普通にやったら負けると思っていたので。普通では無いことをやろう!と判断しました。
――スゴイです。LoLは負けてる側がどんどん負けやすいゲーム。その中で負けてる時の動きが徹底されてプロの試合展開を観ているようでした。
ひかる:慣れてるんですよ!負けてる時の戦い方に(笑)練習でいつも負けてるので。

ミスコンファイナリスト&LoLグランドマスター「みゆうちゃん」
――みゆうさんも決勝1戦目で「0/2/21」というスコアでサポートとして勝利に貢献しました。ちなみにサモナーネームのShakespearには何か意味はあるのですか?
みゆう:うーん…特にありません。なんかカッコいい!と思ってつけました♪
――そうなんだ!実力の高さをかなりアピールできた試合内容だったと思うけど、内容についてはどう?
みゆう:試合の内容自体はあまり覚えてないんですよね。いつも「みんなどうしてこんなに覚えてるんだろう?」って驚きます。

――そうなんだ(笑)。試合中は集中するけど、終わったら頭が切り替わるタイプなんですね。他の皆さんもそれは知ってましたか?
まりも:いえ、初めて知りました(笑)。覚えて無いんだったら、これまでの練習とか反省会って何か意味あったのかな?って思いました。
みゆう:いや!絶対意味あったよ!全部聞いてた!
まりも:聞いてても忘れてるんじゃない?
みゆう:うーん、聞いてても忘れてるかも…。
――(笑)。でもみゆうさんの当日の動きはとてもアグレッシブで、決勝の1試合目でも早い段階でTOPに駆けつけてひかるくんとタワーを守っていました。
ひかる:え?どのタイミングでしたっけ?TOPだった僕もあまり覚えて無いなー。
まりも:あのタイミングじゃない?ひかるがエイトロ使ってて、相手が無理やりタワーダイブしてきた時。俺が「TOPレーン行って!」って言ったのを覚えてる。
みゆう:うーん、自分が使用してたチャンピオンも覚えてない。
一同:(笑)

個人練習は練習ではなく趣味
――決勝2試合目も序盤はリードされつつも、ドラゴン周囲での戦いでキルを返していきました。オブジェクトは取られつつも着実にスコアは返していきました。この指示もまりもくんから出たのでしょうか。
まりも:自分たちは負けている状況だから「ここは耐えよう!」と全体的な方針を出していました。
――どんなにピンチになっても、チーム全体が冷静に動いていたように見えたので、日頃からの蓄積が出ているように思えました。
まりも:練習と本番で特に変えた部分はありませんね。
――かなりの練習を積んできたと思いますが、1日の練習時間はどれくらいでしょうか?
まりも:うーん、どれくらいでしょう。チーム練習としては週3回ほど、1回につき3戦ぐらいでした。
――それ以外の時間は個人練習に充てるのでしょうか?
まりも:個人での練習は練習だと思っていないですね。自己満足というか。個人の練習では自分の実力を上げることしかできないので、練習のつもりでやっていませんね。
――個人練習は練習という認識ではなく、趣味という感覚なのでしょうか。
まりも:あっ!そうですね。趣味という感じです。趣味の延長線上にチームでの練習があるイメージです。

会って練習する必要性について
――みんなは『会って練習する必要性』についてどう考えてる?オンラインの練習の方が効率良いとか、やっぱり集まって練習したいとか。世間には『学校は実際に通学するものだ!』という価値観や『練習は集まってやる方が団結力高まる!』といった精神論もあるけど。
まりも:本番の直前には実際に集まって練習ができるように、僕から先生に掛け合っています。本番ではオフラインで試合をするので、本番環境に慣れておかないと練習の意味が無いと思っています。
――まりもくんが直接、先生に打診してるんですね。他のみんなは集まって練習することについてどう思う?
ひかる:集まって練習するのは良い事だと思いますし、とても楽しいです。ただ、やはり集まるのはとても大変です。チームメンバの中には遠方の子もいるで。
――みゆうさんはモデル業もされていて、そちらでは実際に会って仕事をすることが多いと思うけど。それと比較するとゲームは会う必要あるかな?とか考えたりしない?
みゆう:うーん、わたしはそこまで深く考えたことはないですね。ただ、会わなくてもコミュニケーションはとれるし、どちらでも良いかなと思ってます。
――みんなのような新しい世代の考えは貴重だと思っていて。古い世代は会議においても、実際に会うことを重要視してたり、”Skype”会議でも音声だけじゃなくて顔を映した会議を重要視している。
ひかる:もう、”Skype”の響きが懐かしい笑
――いまはもう”Discord”が主流かな?(笑)。テレビ通話とかしたことある?
ひかる:無いです無いです。テレビ通話はやったことないです。
N高広報:生徒さん達はみんな音声コミュニケーションが上手くて私達もびっくりしています顔も見えないのに、言葉だけでしっかり意思疎通しているんです。

世代によるコミュニケーションスキルの変化
――新しい世代はボイスチャットをはじめとした、音声中心のコミュニケーション能力が高いのかもしれません。
まりも:音声コミュニケーションに能力が必要だという発想が無かったです。
――LoLはボイスチャットによるコミュニケーションが重要だから、自ずと音声コミュニケーションの技術が鍛えられているのかな?
まりも:そうですね。JGは特にコミュニケーション重要ですね。うちのJGのヨシオ(440選手)はずっと独り言を喋っていますが(笑)
ひかる:あいつ、練習中でも歌い出すんですよ。誰も知らない曲を突然、歌い出すんです。
――そんな時、まりもくんは司令塔として彼に歌うのを止めるように指示したりするの?
まりも:いいえ、みんなで彼の音声をミュートします(笑)。うるさいんで(笑)。
ひかる:「やめて!」って言ってもやめてくれないんでミュートします。うるさいです。
まりも:試合が始まってもミュート解除するのを忘れていたりします。「そういえばヨシオ(44O選手)の声聞こえないなー」ってなります。
ひかる:それか、ヨシオ(44O選手)がチャットで「そろそろ解除してくれ!」って送ってきて気付きますね。
一同:(笑)
※「第2回全国高校eスポーツ選手権」優勝を決め、WhiteAndPink選手(かまぼこ)と抱き合う44O選手(ヨシオ)
決勝進出が決まって、周囲の目が変わった
――みんなの世代でも、ゲームに対する世間からのネガティブイメージは実感する?
ひかる:大会に勝ち始めてから周りの目が変わってきました。それまでは「ゲームばかりしてないでバイトいけ!」と言われていましたが、今は「ゲーム頑張って!」と応援されています。
まりも:え!それは初耳!この前、ひかるのお父さんから「息子をよろしくな!」って言われたよ(笑)
みゆう:わたしもそうです!ゲームばかりやってないで勉強しろと言われてきて。ただ、「第2回全国高校eスポーツ選手権」の決勝直前ぐらいから「ゲーム頑張ってね」って突然言われるようになった。むしろそれで稼いでくれ!みたいな(笑)
かまぼこ:僕は特にありませんでした。N高校に入った段階から、やっていることに関して何か言われることは無くなりました。ただ「第2回全国高校eスポーツ選手権」優勝直後の正月、親戚から「ゲーム頑張ってるんだね!」と声をかけられるようにはなりました。
まりも:僕もゲームをやっていることに関しては、周囲から否定も肯定もされていませんでしたが、第1回高校選手権の出場が決まった辺りから周囲から応援されるようになりました。
――スゴイ反響ですね。どんなことでも突き詰めると周囲が認め始めるということがわかりました。大規模大会で結果を出すことは「遊びじゃなくて真剣にやってたんだ」と周囲が気づく瞬間なんですね。

ゲームが好きなら続けるべきか?
――「第2回全国高校eスポーツ選手権」のような若い世代が活躍できる大会が増えてくると『自分もゲームで活躍したい!』とか、『結果が出て羨ましい』と考える同年代も増えてくると思うけど。ゲームが好きなら、それをずっと頑張り続けた方が良いと思う?
ひかる:本当に好きなら…(続けるべき)です。
まりも:そうですね。本当に好きならば…という感じです。中途半端にやろうとすると、損する世界だと思います。やりきるならやりきると決心した方が良いし、遊びでやるなら遊びとして割り切る方が良いと思います。僕自身も19年3月の「第1回全国高校eスポーツ選手権」出場をキッカケに、ゲームを突き詰めようと考えるようになりました。それまでは遊びとして割り切っていました。
――話は逸れますが、第1回大会のテープを持って帰っていたのは印象的でした。カッコよかったです!
まりも:あれですね(笑)いろんなメディアで面白おかしく書かれてました。
ひかる:あれめっちゃカッコよかったと思うけど!
まりも:でも実はあのテープ返ってきたんです。帰りに自分のカバンの上に置いてありました。
ひかる:私物だと思われたんじゃない?(笑)
――あれは大会の名シーンでした。話は戻るけど、ゲームに限らず周りの目が気になっている時点で「本当の意味では熱中できていない」ってことなのかな?
まりも:そうですね。突き詰めようとしてから、ようやく周りの目って気になりだすと思うんです。本当に何かに熱中している時って、周りの目は気にならないはず。やっている段階で周囲の目が気になるなら、それはもうやらない方が良いのかもしれません。

毎試合泣いてた by かまぼこくん
ひかる:2試合目とか、かまぼこが1番精神的に辛かったんじゃないかなーって思ったよ。どっちが勝つか分からない試合だったし。1試合終わるごとに泣きそうになってるんですよ!
――え!それは決勝だけじゃなくて毎試合?
かまぼこ:そうなんです。泣きそうになっちゃうんです。
ひかる:決勝1試合目ってかまぼこは出て無かったんですが、僕らが控室に戻ったらかまぼこ泣いてたんですよ。あの1試合目って、最後までどちらが勝つか分からないゲームだったので、チームメンバからすると心臓に悪いゲームだった。
かまぼこ:泣いちゃいました。負けそうになったり勝ちそうになったりを繰り返してたので、喜んだり悲しんだりを繰り返してました。
――”かまぼこ”って呼ばれてるの?
かまぼこ:“かまぼこ”って呼ばれてます。
まりも:もともと、“かまぼこ”ってサモナーネームだったんですよ。
みゆう:私、WhiteandPinkの由来が“かまぼこ”だってこと、パパにいわれて気付いたよ!
まりも:俺は最初、LoLやってたらWhiteandPinkってやつからフレンド登録飛んできて「これ誰だ?」って思ったの覚えてる(笑)
ひかる:俺はカッコいい!って思ったよ。由来聞いたとき。

プロ、モデル、それぞれの道へ
――最後に今回の優勝は人生における大きなターニングポイントだと思うんです。みんなの中で、目標や夢が変わったりしましたか?教えて下さい。
井上 瑞貴(サモナーネーム:Marimo)
まりも:目標はLJLですね!また、2020年2月末からは沖縄(琉熱沖縄ラウンド)と韓国の連戦があるので、まずはそれを頑張りたいです!
※諸事情により、琉熱沖縄ラウンドとstage0副賞の韓国ツアーは延期となった
※決勝2試合目終盤、劣勢が場面ながらも、Marimo選手(まりも)の活躍で人数差のある集団戦を制し勝利を掴んだ。
Marimo選手は「DetonatioN FocusMe」への所属が決定しました。
【LoL部門からのお知らせ🔔】
この度、DFMにサブメンバーとしてIno選手(@Ino_top41)、Nesuty選手(@nesu_lol)、Marimo選手(@marimom1022)が加入しました‼️
サブメンバーとしてだけでなく、今後作成予定の練習生チームでも活動予定です。
応援よろしくお願いします🏁https://t.co/d5cauFUJ5G pic.twitter.com/pfGig03Hbt— DetonatioN Gaming (@team_detonation) February 29, 2020
室越 光(サモナーネーム:Vandrop)
ひかる:今回の優勝をキッカケに、LJLでプレイしたい!と思うようになりました。このあと海外遠征の大会も控えているので、まずは1つ1つの試合を勝ちたいです。
※Vandrop選手(ひかる)はTOPとしてチームの勝利を牽引、決勝1試合目ではShakesper選手(みゆう)との見事な連携で4連続キルを決めた
武田 直樹(サモナーネーム:WhitAandPink)
かまぼこ:僕もこの大会を通して人前に立つようになって、モデルを目指すようになりました。大友さんに比べたらまだまだですが、俳優業も含めて目指していきたいと思っています!
大友 美有(サモナーネーム:Shakesper)
みゆう:今回の優勝をキッカケに、大手芸能事務所からのスカウトとか仕事案件が来るようになりました。ゲームが好きなので、モデルのお仕事だけでなくゲーム関係のお仕事もしていきたいと思っています。
――本日はありがとうございました!N高の生徒さんは凄いです!自分の想いや意見もしっかりと発言される。そして、性格や人柄的にも個性的な方が多いですね。
N高広報:偏差値で切っていないのもあって、いろんな子たちが集まっているのだと思います。地域で区切っているわけでもないので、住んでいる場所もバラバラの子たちが集まっています。
まりも:それにしても、このチームメンバがこんなに多種多様なのが不思議です。ただ単にゲーム好きな人たちを集めただけなのに。こんなに個性的になるなんて。
ひかる:このチームだと俺がいちばん普通だと思うよ!
みゆう:ひかるが一番普通だし、一番優しい!
まりも:あれ?ていうか今日「K/DA」のパーカー着てきてるじゃん!
かまぼこ:めっちゃ、カッコいいじゃんそれ!
ひかる:あっ、うん。ありがとう。

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