SCARZ Call of Duty部門の電撃復活が発表されてから早2ヶ月弱。

彼らのデビュー戦となる世界大会「CoD Challengers Open」が目前に迫る中、選手とコーチへのインタビューを敢行しました。

シーズンをまたぐ形での新規チーム結成でそれぞれが悩んだ進退のお話や、チームがチームとして動き出すまで苦悩をお聞きしました。

日本一を掲げるSCARZメンバー

ーーでははじめに自己紹介からお願いします。

AliceWonderland選手(以下、敬称略):リーダーのAliceWonderlandです。

Ngt:Ngt(ながと)です。武器はアサルトライフルを担当しています。

NevvtonX:NevvtonX(にゅーとんえっくす)です。SMGを持って頑張ってます。


ねこかん1st:ねこかん1stです。コーチをやっています。

※スケジュールの都合上、選手3名とコーチへの取材となりましたが、以上の3名に加えてMiAKi選手、Duffle選手、よみちゃん選手がチームに所属しています。

引退か次なるステージか、悩んだ末の新鋭SCARZ

ーー前作の『CoD:BO4』シーズンでは、みなさんそれぞれ別のチームに所属していました。そこからこのメンバーで新チームを結成することになった経緯から伺えますか?

▲ゲーミングハウスでの取材。座布団取材は新鮮でした。

 

AliceWonderland:始まりは僕が前所属チームを離れるところからですよね。前チームを離れても「世界のステージに立ちたい」という目標が僕の中では変わらずにありました。

ちょうど同じ頃、実力もあるNevvtonXさんがチームメンバーを探していると聞いて声を掛けました。そこからNevvtonさんの知り合いを集めて作成したチームが始まりです。とにかく試すのが大事だと考えていたので、気になるプレイヤーに声を掛けて、一緒にやってみてはやむを得ずお断りをした時期もありました。

ーー新たにチームを結成する以外の道を考えたことはありましたか?

AliceWonderland:引退は全く考えませんでしたが、オーストラリアなどの海外に行って外国語を学びながら海外でCoDのチームに入る選択肢は頭をよぎりました。

ただ現実的に考えると、プレイや作戦について英語で会話をするのはかなりハードルが高いです。まだ全然話せないので、今行くのは厳しいだろうなと……。海外の選択肢も考えていた頃にSCARZのオーナーと話をして「日本でもう1年、英語も勉強しながら挑戦してみよう」という感じでまとまりましたね。

ーーNevvtonXさんはどうでしたか?

NevvtonX:僕は正直な話、今のメンバーと巡り会えていなかったらやっていなかったと思います。やはり勝負なので、勝てないとおもしろくないんですよね。AliceさんやDuffleさんがいたから、自然とプレイヤーを続けていたんだと思います。

ーーメンバーで言うと、Ngtさんの加入も大きな反響がありました。

Ngt:僕の場合は前所属チームのCYCLOPS athlete gamingが解散したタイミングで、Aliceさんからも僕からもお互いに声を掛けた感じです。

これは悩んだ結果でもあります。当時はニコと続けること(※)が僕の目標の1つでもあったので、フリーになるとわかって、一度は選手を退くことも考えました。

ニコ=Nicochan選手
※Nicochan選手とNgt選手はCYCLOPS athlete gamingで約1年ほど共に活動していた。解散した現在、Nikochan選手はRush Gamingに所属している。


僕は学歴もないですし、学生時代に膝の靭帯を切ってしまった影響も残っているので、今から普通の仕事に就くのは難しいんです。ただAnotherをはじめとしたコミュニティ大会などで解説をやらせたもらった経験から、解説者というセカンドキャリアは頭にありました。

当然「日本一になりたい」「世界で戦いたい」という目標もありましたが、個人的には「この業界に長くいたい」という目標も持っています。今の自分の身体と能力を活かして長く頑張ろうとすると、選手よりも解説者でいる方が圧倒的に寿命は伸びます。ですが今選手から解説者になると解説者でしか頑張れない。『CoD:MW』は自分でも比較的自信がある作品ですし、まだ選手として挑戦したい気持ちが強かったので、選手としてやり続けることを決めましたね。

コーチの痛烈な一言「だって君たち弱いじゃん?」

ーー現在のチームの仕上がりはいかがでしょうか?

AliceWonderland:バックグラウンドも異なるメンバーが集まって、Ngtが途中から入ったばかりなことを考慮すると、悪くない状態だとは思います。本音を言えばミネソタまでもう少し時間が欲しかったです。

ねこかん1st:僕が合流したのがチーム結成から約1ヶ月後ですが、当時は本当に酷かったんです。

交流戦ですらAliceWonderlandくん以外誰も声を出さないし、負けているのに新しいことを試そうともせず、誰が見てもボロボロで。僕が「こういうのをやってみるのはどう?」と提案をしても、メンバーが「もうそれはやりました、一度やったものをまたやるのってどうなんですか?」なんて言ってくるくらい。

あれを言われてさすがに痺れを切らしました。合流初日でみんなとも初対面だったのですが、「だって弱いじゃん君たち」「みんなの足引っ張ってること自覚したほうがいいよ」とかなり厳しいことを言った記憶があります。

怒りを通り越して呆れのような感情もありました。本当に1ヶ月前までは状態が悪かったです。ですがそこからは「自分はダメなんだな」と自覚してみんなが変わって、素直にものすごい成長スピードで吸収して良くなってきています。

NevvtonX:これは憶測ですが、Aliceさんがチームを離れてどこかに行ってしまってもおかしくないと思っていました。Aliceさんを信じていないとかではなくて、浮いているくらい1人だけ強かったので、その強さの距離感に申し訳なさも感じていて。

なので自分なりにAliceさんに追いつこうと、ねこかんさんが来てからも一緒に研究をしてもらったりして、もう必死にやるしかなかったです。

ねこかん1st:NevvtonXくんも含めたみんなの会話が徐々に増えて、しっかりと意見を交わせるチームになってきた気がします。きっと自信がついたんだと思います。自信がないと話せないですし、相手のことを上だと思っていたら尚更言いにくいはずですから。

Ngt:あとはねこかんさんがよく話を振っているのも大きいと思います。「Duffleさんどう思う?」「MiAKiはどう?」と意見を発する状況を作り出してくれているので、ありがたいですね。

ねこかん1st:プレイヤーだからこそわかる野生の勘みたいなものって絶対にあるんですよね。僕ももともとはプレイヤーだったので、その勘は信じるべきだと。なので僕から客観的な意見は出しますが、最後は選手に決めて欲しいし、選手の意見を尊重したいと思っています。

AliceWonderland:難しいですよね、人に何かを言うのって。いろいろなゲームを探してもこんなに優秀なコーチはいないと思います。ねこさんのおかげでチームがすごく変わりました。

ねこかん1st:Aliceくんは優しいんですよ。なのでメンバーに何か言う時もすごく控えめに、遠回しに伝えようとしていて。僕が代わりに「君たち弱いぞ」とストレートパンチを入れた感じです(笑)。

AliceWonderland:前は苦しかったですが、今は伸びしろも見えていますし良い方向に進んでいると思います。

ファンからの質問に答えます!「嬉しい応援コメントは?」「ファンミはあるの?」

ーー今回事前にファンからの質問を募集しました。いくつかピックアップしてご質問します。まずは「ムードメーカーのような人はいますか?また、チームの雰囲気作りはどのようにしているのでしょうか?」とのご質問です。

AliceWonderland:ムードメーカーは……いないです?

ねこかん1st:強いていうならキング?

AliceWonderland:みあきですかね。ミアキングでキングです。いじられキャラというか、話しかけやすい感じですね。

雰囲気は、ねこかんさんが真剣な空気を作ってくれています。側から見ると険悪な雰囲気に感じることもあるかもしれませんが、チーム内では良い雰囲気でやれています。

ねこかん1st:練習でふざけいて本番でできるわけがないので、毎回疲れるかもしれないですがガチな大会の雰囲気を作るようにしていますね。練習が終わったらみんなでゲームをしたり、普通に仲良しです。

ーー「コメントでどんな応援があったら嬉しいですか?」と来ています。これまでで嬉しかったコメントはありましたか?

Ngt:僕は活躍した時に「Ngtゲー(ながとげー)」と言われるのは嬉しいです。


※Ngtゲー:Ngt選手が無双した時に称される言葉。「半端なく神プレイ」「Ngt選手のためのゲーム(そのくらい上手い)」のような意味合いで使われている。

AliceWonderland:僕はどんなコメントでも嬉しいです!

NevvtonX:なんでしょう……。僕も応援されたらそれだけで嬉しいと思います。

(インタビュー時には不在だったDuffle選手、MiAKi選手にも伺ったところ、Duffle選手は「応援そのものが嬉しいです。個人的には『社会人の希望です』といったコメントは特に嬉しい」、MiAKi選手は「すべて嬉しいが『頑張れ〜』という黄色い声援は嬉しい」とのことでした!)

ーー次はAlice選手へのご質問、「スナイパーを当てる時に行うルーティーン的なものはありますか?」と。

AliceWonderland:ルーティーンというか、気持ちの面でアグレッシブに外すことを恐れず撃ちまくることですかね。スナイパーライフルって外してもいいと思っています。最終的に自分が倒される前に敵に当てればいいんです。僕はただ当てるのが上手いだけ。こればかりは練習あるのみですね!

ーーでは次に、「ファンミーティングを開く予定はありますか?」と来ていますが……?

AliceWonderland:(マネージャーに向けて)ありますか?

マネージャー:あります!

AliceWonderland:だそうです。期待していてください!

仲間がいるから倍速で上達できる

ーーではプレイに関する質問で、「上達が早い人と遅い人の違いは何だと思いますか?」

Ngt:自分のプレイを注意された時に認められる人ですね。客観的に言うとFPSには正解がないので、指摘されたことに対して蓋をするのではなく、「そういうのもあったのか、次はそれもやってみよう」と選択肢を増やしていける人は上達が早いかなと思います。

自分のプレイのまま止まるか他人の知識を得て次に進めるかが、上級者の中でもまた次のステップに行く分岐点だと思います。

ねこかん1st:僕が1つ挙げるとしたら、振り返りをした時に「この動きダメだな」だけ言う人は上達が遅いような気がします。そこで、なぜダメだったかの理由を自分の言葉で言える人は上達していける人だと思います。

AliceWonderland:違う方向で考えると、仲間がいる人ですね。自分1人で反省をしても自分の意見でしかないですが、友達や同じレベルの仲間がいればその人数分のアイデアが出てきます。Ngtが言ったことにも近いですが、仲間は大事ですね。

NevvtonX:僕は自分の良かったプレイを見返すことも多いので、良い部分を伸ばして自ずと悪いところを減らすみたいな意識は大事なのかなと思っています。

ミネソタは収穫の多いデビュー戦になる

ーーファンからの最後の質問です。「日本一になるためにSCARZに今必要なことは?」

AliceWonderland:大雑把にはいろいろありますが、それを具現化するためにはもう少し時間と経験が必要な感覚です。それを明確にするために、ミネソタは良い舞台になると思います。

ーーありがとうございます。では、ミネソタと今シーズンに向けての意気込みをお聞かせください。

AliceWonderland:ミネソタは僕らのデビュー戦ですが、第一の目標は誇らしい成果を出すこと。その上で絶対に抑えたい目標として、何も得ずに帰ってこないことです。勝つにしても負けるにしても経験値は得られるので、それを他のチームよりも活かせるかどうかで今シーズンの成果が変わってくると思います。

12月の大会に出ていない分、僕個人としてはまだ連覇の記録が残っています。負けるのはイヤですし、1位以外取りたくないし取れないので、まずはミネソタで良い経験を積んできます。

「CoD Challengers Open」は日本時間1月25日(土)AM4:00頃から試合開始!
日本からはSCARZ(@SCARZ5)、Rush Gaming(@RushGamingJP)、Libalent Vertex(@TeamLibalent)が参加予定です。
大会の結果や進捗は、各チームのTwitterをご確認ください。

チーム公式サイト:SCARZ