皆さん、お待たせしました!こちらでは、Burning Core(BC)の日本人選手3名による「韓国修行」の密着取材中に行ったインタビューをお届けします。3選手の韓国でのエピソードを中心に、来季の抱負なども聞いてきました。

スペシャルゲストとして34コーチにもお話を伺いましたので、最後までお楽しみください。韓国密着取材の様子は以下よりご覧いただけます。

トップレーナーのRayFarky選手
ミッドレーナーのRoki選手
ADCのYuhi選手

――まずは韓国行きの話を聞いて率直にどう思ったかというのを聞きたいんですが、そもそもいつごろ聞かされたんですか。

Roki:韓国行きが完全に決まったのは11月の頭ぐらいですかね。具体的な日にちが決まったのは、出発の1週間ぐらい前だったと思います。

RayFarky:僕だけ「LJL Summer Split」からの新規契約なので、待遇などの話をしているときにオフシーズンに韓国で現地修行をする予定があるっていう話を先に聞かされていました。

Yuhi:へぇ、そうなんだ。僕はずっと自分から「韓国に行きたい」ってチーム側に言っていたんですよ。絶対に上手くなれると思ったので。


――じゃあ、韓国行きが決まったときは嬉しかったんじゃないですか。

Yuhi:そうですね。「ついに来た……!」っていう感じでした。

RayFarky:僕は先に話を聞いていたとはいえ、実際に行くって決まったときは「本当に行かせてもらえるんだ、ありがたいな」っていう気持ちでしたね。こんなに恵まれたチームはほかにないので、親とも「すごいね」って話してました。

Roki:僕の場合はまず韓国サーバーを低Pingでプレイできるっていうのと、韓国料理にも興味があったのでそれが楽しみでしたね。日本でもたまに食べると美味しいので、本場の韓国料理を食べてみたいなっていう感じでした。

――皆さんが楽しみにしていた感じが伝わってきますね。では、韓国行きのために事前に準備していたことって何かありましたか。

Yuhi:僕はとにかく「LoLやるぞー!」みたいな感じで、気持ちだけ準備していました。

RayFarky:簡単な韓国語ぐらいは見ておこうかなって考えてはいたんですけど、結局ちらっと見ただけで全然覚えてないという……(苦笑)。とにかくゲーム面で成長して帰ってこないとチームへの恩返しにならない、みたいな気持ちが強かったと思います。

――YouTubeのBCチャンネルに上がっている動画を拝見したんですが、出国当日の様子を見て正直「大変そうだなぁ」と思いました。

Roki:自分たちだけで手続きをして海外に出るっていうのが、僕は初めてだったんですよ。だからやっぱり大変でしたね。飛行機に乗るときもチェックインの時間に遅刻して、もう飛行機に乗れないんじゃないかって……。韓国に着いてからも、電車を探すのにまず苦労しましたね。

――あれを見て心配になりましたけど、実際に生活してみてどうですか。

Yuhi:ゲーミングハウスのある弘大(ホンデ)っていう場所が良いからなのかもしれないんですけど、生活していて困ることはないですね。

RayFarky:弘大は日本で言う原宿みたいなところだって34コーチも言っていて、外国人に優しい街だと思うんですよ。お店も英語や日本語のメニューがあって、韓国語のメニューしかないっていう店がほとんどなかったので、そこは助かりました。

――インタビュー動画ではRayFarky選手が「寒い」と言っていましたが、気候には慣れましたか。

RayFarky:さすがに慣れました。というか、よく考えたら冬の実家の寒さと同じぐらいなんですよ。ずっと東京にいたので忘れていたんですけど、ソウルに何日かいたら「あ、これ群馬の山のほうと変わらないな」って(笑)。

Roki:でもこういう寒い国って、逆に部屋のなかがすごく暖かいんですよね。床暖房がついているので日本のゲーミングハウスより暖かいし、エアコンの暖かさと違って眠くならないのが良いですね。

――同じ動画でRoki選手は「空気が良い」と言っていましたけど、ソウルは最近PM2.5などの大気汚染が深刻で話題になっているので少し疑問だったんですよ。

Roki:そうなんですよね(苦笑)。あのときは飛行機に乗ってきたから、一刻も早く外の空気が吸いたかったんです。今思えば、住んでいる場所の空気はすごく悪いなって思います。

――では「飛行機のなかに比べると空気が良かった」、ということで(笑)。同じ動画でYuhi選手は「地下鉄の一駅が長い」、と話していましたが、実際に生活してみて考えは変わりましたか。

Yuhi:そうですね。仁川(インチョン)空港から来たときは、ひと駅の間隔がめちゃくちゃ長かったんですよ。でも後になってソウル市内の地下鉄に乗って、考えが変わりました。ひと駅の長さは東京と同じぐらいでした。それから通勤ラッシュの時間は人が多くて詰め込んでって感じで、地下鉄そのものが日本と同じ感じでしたね。

――韓国生活4週間目にもなると、最初の印象といろいろ変わるものですね。あとはやっぱり生活するにあたって食事が重要だと思うのですが、食べ物は口に合いますか。

RayFarky:僕は無理矢理慣らしたって感じです。韓国に来る前は辛いものがそもそも苦手だったんですけど、慣れなきゃ食べ物にありつけないなと思って前よりは全然食べられるようになりました。こっちの料理って辛いけど美味しい、食が進むみたいな料理が多いので良いですよね。

Yuhi:僕はもともと日本でもたまに友達とコリアンタウンに行って韓国料理を食べるぐらい好きだったので、全然問題ないです。
Roki:こっちに来て食べたい韓国料理はひととおり食べたんですけど、全部美味しいですね。サムゲタンとかカムジャタンとかチーズタッカルビとか。

――具体的な料理名がいろいろ出てきましたけど、LJLのファンのなかには韓国に興味を持っている方も多いと思います。皆さんのおすすめの韓国料理をぜひ教えてください!

RayFarky:日本でも食べられるんですけど、こっちのチーズタッカルビは全然違いますね。日本より味がとにかく濃くて、2倍食べられます!

Yuhi:まだ食べていないけど、食べに行く予定のものでもいいですか。蟹の料理なんですけど……カンジャンケジャン。動画でも見るぐらい興味があって。絶対美味しいと思うんですよね。

RayFarky:蟹がメインの料理?

――そうですね。生の蟹のしょうゆ漬けで、それこそ味が濃くてご飯が進む感じです。

Roki:へぇ、何か想像つかない……。僕はやっぱりサムギョプサルとか焼肉系ですね。韓国の焼肉って日本と違って野菜やキムチを店員さんが焼いてくれたりするんですけど、それと肉を一緒に食べるのが美味しいなと思って。あと味噌とコチュジャンを混ぜたサムジャンっていうタレがあって、肉だけじゃなくて野菜につけても美味しいです。

――それ以外で何か面白いエピソードや、韓国文化で気づいたことなどがあれば聞かせてください。

Roki:韓国の人は車のクラクションをめっちゃ鳴らします(笑)。ドライバーが自分の意思をどんどん出してる感じ。

RayFarky:タクシーだと、前にちょっと止まってる同業者がいるとなんか叫んでたりしてますよね。たぶん「早く行け!」とかそういう感じだと思うんですけど。

Yuhi:「パリパリ(早く早く)文化」だね。34コーチがよく言ってるやつ。通行人も、もたもたしてると「どけよ」って感じだし(苦笑)。だけど街を歩いていると、すごく面白いんですよね。屋台が普通にあって、しかも毎日やってるし。ほかにはまあ日本にもいますけど、ストリートミュージシャンが多いですね。

――ストリートミュージシャンに関しては、周辺にライブハウスなどが多い弘大ならではかもしれませんね。

Roki:歌と言えば、韓国にはコインカラオケがありますよね。カラオケ自体は日本とそんなに変わらないんですけど、システムが日本と違ってお金を入れて歌う感じで、しかも4曲で100円とかすごく安いんです。日本のカラオケに韓国の歌があるのと同じで日本の歌も普通にいっぱいあったので、もっと早く来たかったなあって感じでした。

――Roki選手は韓国語を勉強したいと言っていましたが、3人の今の韓国語の実力は?

Roki:店員さんを呼ぶときの「チョギヨ(すみません)」とか。

RayFarky:返事するときの「ネー(はい)」。これが一番聞く。みんな使ってる気がする。

Yuhi:逆の「ア二ヨ(いいえ)」とかも。だけどなんか韓国語を聞いていても、みんな流暢すぎて聞き取れないんですよね……。

RayFarky:ゲーム内だったら「チョンチョニ(ゆっくり)」とか。

――それ「チョンチョニ マレ ジュセヨ(ゆっくり話してください)」とかに応用できますよ。

Roki:確かに!でもお店の人とかって、こっちが外国人だってわかると気を遣って英語や日本語を話してくれることが多いんですよね。だからもしもまた韓国に来ることがあったら、今度は友達をつくりたいです。

Yuhi:僕は意味はわからないんですけど、ハングル文字は半分ぐらいは読めますよ。

RayFarky:僕もゲーム内が韓国語だから、文字の形で覚えているのはありますね。チャンピオン名のダリウスとかヤスオとか、簡単なやつだけ。

――なるほど、皆さんゲーム画面が韓国語なんですね。動画でも韓国サーバーのレートを上げたいと話していましたが、ズバリ目標は達成できましたか。

RayFarky:目標には届いていないんですけど、シーズン中に比べたらポイントはかなり上がりましたね。最高記録も更新して、しかもその辺を維持できているので確実に成長はしています。

Yuhi:目標が3段階あって一番上がグランドマスターにいくこと、次が200LP、次が100LPって決めてたんですけど、3分の2は達成できました。最後の目標は達成できていないんですけど、その目標自体は今回の韓国滞在中にやるというよりも長い目で見たときの目標だったので、今はまあまあ満足しています。

Roki:目標はグランドマスターだったんですけど、近づけはしました。日本に帰ったときに今のLPをどれだけ維持できるかっていうのが、次の目標だと思っています。

――やっぱり日本でプレイするのと感覚が違いますか。

Roki:上を目指してこのゲームをちゃんとやっている人だったら、すごく変わるかもしれません。

RayFarky:でもPingは40から10でしょ。ノーマルやってる人でも変わるんじゃないかな。自分のスキルを早く出すチャンピオンだったら、だいぶ変わると思いますよ。イレリアのQとかリーシンとかだったら、わかりやすいかも!

――世界中のチームが韓国でブートキャンプをする理由がわかりますね。では最後に来季に向けて、改めて目標や抱負を聞かせてください。

Yuhi:僕は前に勝てなかったチームに勝ちたい気持ちが強いですね。具体的にはDetonatioN FocusMeとV3 EsportsとCrest Gaming Actに負け続けていたので、次は勝ちたいなって思います。

それと今はSengoku GamingにYutoriMoyashi選手が入りましたよね。やっぱりそばで見てきたから意識しちゃうので、YutoriMoyashi選手を超えることが目標です。そろそろいけるんじゃないかなって感じもしてます!

RayFarky:僕は大前提として、セミファイナルには行きたいですね。あとこれはLJLに出始めたときから思っていることなんですけど、会場が沸くようなプレイをいっぱい見せたいんです。

意識してやるものでもないんですけど、ヘッドセットをしていても歓声が聞こえるぐらいの「魅せるプレイ」がしたいですね。「LJLで強いトップレーナーは?」って聞かれて名前が挙がるような選手になることが目標です。

Roki:個人的には、来シーズンはたぶん韓国人ミッドレーナーが増えると思うので、彼らと五分五分で戦うことが目標ですね。そうすればチームが勝てるという自信もあります。おそらく他のチームは今ちょうどメンバーを決めることで忙しいのに、自分たちはこうやって韓国に来てすでにチーム練習を始めていて、連携やチームの団結力も深めていける段階にあります。

新しいサポートのProud選手とも仲良くなれましたし、来季のBCは強くなると自信を持って言えるので、皆さん応援をよろしくお願いします!

――ありがとうございました。最後に、34コーチにも今回の韓国修行について何かコメントをお願いしたいと思います。

34コーチ:僕は以前から「韓国修行」をやりたいとずっと思っていました。これまで日本で生活をしていて強く感じたのが、日本人選手たちはお互いをビジネス関係に近い感じで捉えているケースが多いということだったんです。例えばチームとして良くないことがあっても、ハッキリ言えずに「大丈夫」と言ってしまったり。むしろ友達のように仲良くなれたほうがフィードバックもきちんとできるようになるし、日常生活においてもストレスが減るんですよね。

具体例としては、韓国人選手は日本のことがわからないから休日もゲーミングハウスにいることが多いんですけど、今回日本人選手たちが韓国へ来たことで同じような体験をしたわけです。「外国で生活する」ということを少しでも理解してくれたなら、「いっしょに出かけようか」って自然に声をかけたりできるようになると思うんですよね。お互いを理解することでもっと仲良くなれれば、チームとしても良くなっていくと思います。僕は正直これを一番重視しているので、韓国に来てとても良かったと思っています。

ただ、ゲーム面における今回の目標は「全員がグランドマスターになること」でした。だから正直満足はしていません。それでも努力して成長はしましたし、もう少し早く韓国に来られていれば達成できただろうと思います。オフシーズンは個人練習しかできない期間がどうしても長くなります。ひとりでもメンバーが決まらないとチーム練習はできませんし、実家に帰ったりすると練習をサボりがちになる選手も出てくるわけです。そういうことを避ける意味でも、今回11月中からチーム全員が韓国に集まって練習ができたのは、とても有意義でしたね。

――貴重なお話を聞かせてくださってありがとうございました。せっかくなので、今回「韓国修行」を頑張った日本人選手たちにメッセージをお願いできますか。

34コーチ:うちの日本人選手たちは全員才能が非常に優れています。ただRayFarkyは努力が足りないタイプなので、たくさん練習することを心がけてくれればかならず伸びる選手だと思っています。Rokiは韓国人の多いポジションなので、委縮して自信に欠けているところがあります。自分は韓国人選手と対等に戦えるという気概を持ってプレイできれば、もっと実力の高い選手になれるはずです。Yuhiは完璧主義というか自分に対する目標が高いタイプなので、上手くいかないとメンタルが崩れやすいところがあります。自分が新人選手であることを自覚して、焦らず長い目で未来を見据えて練習に励んでもらいたいです。