アマチュアチームでもベスト8からオフライン大会を体験できるということで話題となった「AKIHABARA KANDAMYOUJIN CUP」。
吉村氏はesportsの知識0からesports大会の準備を始め、プレイヤーを主役にしたまま、esportsのマーケットをどうやって広めていくかを試行錯誤しながら、8月に向けて大会準備を進めている。
今回esports pressでは、大会開催までに至った経緯や裏話などを主催である「神田明神カップ製作委員会」 吉村精司氏に語ってもらった。
――「夏葉原」は今年で2回目の開催ということでしたが、昨年から始められた経緯やきっかけを教えてください。
吉村氏:もともと「アキバ大好き!祭り」と言う祭りを住友不動産ベルサールさんと5年くらいずっとやっていたんですけど、秋葉原ってバラバラでやっているイベントが結構あるんで、うちがUDXさんともお仕事している中で一緒にやったらどうかなって言う話になって。
atreさんや神田明神さんにお声がけをして、みんなで盛り上げようと言うことで夏葉原が始まりました。
――今回、夏葉原の中でesportsの大会をやってみようとなったのはなぜですか。
吉村氏:最初は「神田明神ホール」が出来たので、そこで何かイベントができないかと相談があったのがきっかけです。
神田明神納涼祭りで場所は抑えてあると聞いており、ちょうど秋葉原電気街振興会さんの新年交歓会で小野一志会長が「これからはesportsだ。」っておっしゃっていたので、じゃあesportsやろうかなと。
あとは、自作PCのまちと呼ばれているので、(esportsと)一番相性もいいですし、PCパーツやデバイスが売れて盛り上がればいいなと思っています。
――「League of Legends」「レインボーシックスシージ」という2タイトルを選んだ理由をお聞かせください。
吉村氏:世界的に有名かつ、神田明神ホールのサイズも小さいっていうのもあるんでそこを考慮しながらですかね。
あとはやっぱりesportsだし、世界標準で盛り上がっているPCタイトルをやっていかないとデバイス自体が売れないので、まちの盛り上げには繋がらないなと。まあ、LoLに関してはあまり日本では盛り上がってないとも聞いたんですけど、やるべきことの理念は変わらないので、失敗してもやりきろうって感じで進めてますね。
――一般のプレイヤーもオフライン大会に参加できるという珍しいイベントでかなり注目も集まっていましたね。
吉村氏:そうですね。やっぱりネットだけだと知ってる人しか知らないと思うんで、知らない人にも認知をあげることでマーケットを広げたりだとか、プレイヤーが増えたりするので、積極的にしていかないとダメだなって思っていたので。そのためには目に見える形でやって、それがニュースソースになったりすることが重要だなと思って。
あとは、準々決勝をソフマップさん(e Sports Studio AKIBA)でやるので、出られたら選手も嬉しいかなって。
――無名のアマチュアチームがプロチームを出し抜いてオフライン大会に進出する可能性もありますよね。
吉村氏:ダブルエリミネーションだったりとか、ちょっと不公平感があるなって感じたんですよ。強いチームしか残らないし、ジャイアントキリングが起こったりとかなかなかしないじゃないですか。それって日本人すごくわかりずらいんじゃないとかと思ったんで、もうちょっと一般の人に認知してもらおうと考えた時に、もっとわかりやすいルールにしていかないとダメだなって。
なおかつ、無名のチームが強いチームに勝つってことが好きじゃないですか、日本人って(笑)それがニュースソースにもなるしドラマ性も出てくると思うんで、やっぱりそういうことをやって新しい強いチームをどんどん作っていかないとマーケットが活性化しないかなと。
――賞金設定が各タイトル100万円と、国内のイベント大会にしては少し高めに設定されていますがどのようにして決められましたか。
吉村氏:議論のなかであんまり1000万円とかにしちゃうと、多分腰が引けちゃうっていうのがあったんで、まあ100万円でいいんじゃないって感じで決まりましたね。
あとは大会をやるにあたっての目的のゴール設定の問題もあって。例えば、10万円でやったとして認知が上がらなければほぼ意味がないし、当然会場費とかで結構お金もかかっているんで、それに対しては腰が引けない程度には出そうっていう。じゃないと(大会を)やる意味ないよねって。
1回で終わるつもりはないので、毎年タイトルを変えたり増やしたりして続けていければって思ってますね。アキバのまちや、必勝祈願として有名な神田明神さんがesportsの聖地になればまちも潤うので。あと、施設さんとかからいろんなものもらってるんで、また景品とか色々増えます(笑)
――中国からのプロチームが来日するという情報だったのですが、どのチームが来られるんでしょうか。
吉村氏:今ちょっと調整中なんですけど、シージでは「※Team WE」っていうチームが来ます。LoLの方は表彰式が終わったあとにエキシビジョンマッチを※China Joyの勝ったチームとやります。ただビザの関係で来れるか来れないかっていうのがまだ未定なので、2位や3位のチームがくるかもしれないです。
※2017年11⽉に開催された⽇中の親善試合(当時はuL Gaming)で「eiNs (ShiN,Cabbagest,Nata,SuzuC,Aroer1n4)」に勝利したチーム。
※上海で8月に開催される中国最大のゲームショウ
あといろんな話あったんですけどね。ジャッキー・チェンくるとか。「行ってもいいけどプライベートジェットある?」って聞かれて、断念しました(笑)
――ジャッキー・チェン(笑)イベント自体もすごく盛り上がりそうですね!今からとても楽しみです。
吉村氏:そうですね。イベント内ではアニソン盆踊りとか、2週間かけてスタンプラリーとかをやります。あと今回は、コラボのアニメやゲームタイトルを前回の4タイトルから6タイトルまで増えたので、それのキャラ26体分のしおりをランダムで配る予定です。
まだ、詳細は言えないんですけど神田明神カップでのアニメコラボも概ね決定しました。
――秋葉原ならではのイベントになりそうですね。
吉村氏:もともと神田明神が秋葉原の由緒ある必勝祈願の神社なんですよ。なので将来的にesportsで盛り上げて世界大会へ行く前の必勝祈願のイベントになればいいなと思っています。
本当は大会名を「秋葉原カップ」とかにしようかとも思ったんですけど、なんか難しいみたいです。みんなの秋葉原なので(笑)
――今後はどういった展開を考えているんでしょうか。
吉村氏:来年は格ゲーとかやってもいいのかなとは考えています。あと大会というよりはフェスにしたいと思ってまして、調整中ではあるんですが今アフターパーティーも検討中です。
ゆくゆくはみんながその時期を楽しみになるようなイベントになれば最高ですね。
――イベントが海外まで広がれば更に盛り上がる気がします。
吉村氏:そうですね。海外の方はアキバ文化とかアニメコンテンツ好きも多いので、そこと絡みたいという人が来るだけでも盛り上がりますし、マーケットとしては伸びるのではないかと思っています。イベントの面で言うと、現在中国での配信を準備していますし、表彰式を神田明神さんの社殿で行うなど日本ならではの演出も用意しているので喜んでもらえたら嬉しいですね。
日本人だけではなく海外の方まで集まって来てもらうことで、イベントはもちろん秋葉原のまち自体も潤っていってくれればなと。
――「AKIHABARA KANDAMYOUJIN CUP」には様々な想いが込められているんですね。
吉村氏:だから、僕としてはJeSU(日本eスポーツ連合)さんとも連携してやっていければと思ってるんですよ。ただ、それこそシージの賞金関係の許可問題や、どこと関係してイベントを行っているかといった利権関係など色々ありまして。
結果問題はなかった訳なんですけど、正直どこと関係してるから(イベント)やれないとかって意味不明なんですよね。みんな仲良くすればいいじゃんと。
結局そういった面にプレイヤーが巻き込まれてるってのが現状だと思うので、このイベントはそんな色をつけたくないと思ってます。そうしちゃうとプレイヤーが増えないし、それに伴って観る人が減ってマーケットが収縮してしまい、さらに世界と差が生まれていっちゃうと思うので。
――こういった大会が増えると出る側(プレイヤー)としては本当にありがたいと思います。
吉村氏:いやほんと(こんな環境だと)なかなか増えないですよね(笑)。今回は「夏葉原」という大きなイベントの中でやるので、PRとか会場とかいった部分を最小限に抑えられたのでよかったんですけど。本当はもっと大会をいっぱいしないといけないと思うんですよ。認知も広がらないと思うし、オンラインでやってるだけだと知ってる人しか集まらないですしね。
スポーツ界で言うとイチロー選手やカズさんのように世界で活躍する選手を観て憧れてプレイを始め、また強い選手が出てきて、みたいなのがあるべき姿じゃないですか。そこを阻害するような仕組みは邪魔なだけですよね。
――プレイヤーのことを第一に考えているんですね。
吉村氏:興行なのでお金のためにやるのは全然いいと思うんですけど、自分たちの利益を先行しちゃうとマーケットがどんどん小さくなっていくと思うんですよ。結局プレイヤーを増やして、観る人を増やさないことにはマーケットとして成り立たないのに、そこに自分たちの利益を求めるやり方だと規模は縮小してしまうばかりだと思います。
今回のイベントが一石投じる形になって、他にもこういう大会が増えるようになれば、企業さんの見る目も違ってくると思うんですよ。観る人が増えれば広告主もつくと思うので、それで盛り上がればesportsにまつわるビジネスが生まれてくるんじゃないかと思っています。
――特にLoLはオフラインで他のプレイヤーと戦う機会がなかなかないので、プロでなくてもオフライン大会に出場できるというのは魅力的だと思います。
吉村氏:タイトルを盛り上げるには国内でプレイヤーを増やすのが一番だと思うんですよね。僕が言うことではないとは思うんですけど(笑)。ただそう思ったのもあって、タイトルを「LoL」にしたっていう側面はあります。
本当は「フォートナイト」も楽しくていいんじゃないとはいったんですよ。だけど、製作委員会ではなんかスルーされちゃって。2、3回掛け合ってはみたんですけど「競技性で行くとちょっと・・・」みたいな(笑)。
ただアフターパーティーとかでフォートナイトの着ぐるみを着て踊ろうよって提案はしてます。ゲームはしなくても、バナナを着て盆踊りとかやれば面白そうじゃないですか。「とっとこハム太郎」とか流して踊りたいですね(笑)
――入場料無料なので凄い人数が集まるんじゃないでしょうか。
吉村氏:そうなんですよね。場所も限られてますし、会場にたくさんは入らないと思うので、入場は抽選にしようかと思ってます。ただ、パブリックビューイングとかやって一般の人の目に触れる機会は増やしたいなと思っています。
今って大会が幕張とかでしかやってないじゃないですか。なのでまず一般の方に知ってもらうという面で、そうした機会は作ろうと動いています。
――最後に大会に出る方に向けて一言お願いします。
吉村氏:一番はプレイヤーのための大会にしたいと思っています。これからどんどんプレイヤーが増え、世界に行くようなトッププレイヤーが出ていく腕試しのような場所にしたいと思っていますので、ぜひ楽しんでご参加ください。
イベント詳細

「AKIHABARA KANDAMYOUJIN CUP」は最大128チームによるノックアウト方式のトーナメント戦で、賞金総額は100万円、さらに豪華な副賞も提供予定です。
トーナメントではベスト16まではオンラインで戦い、準々決勝は8月3日~4日に秋葉原『e Sports Studio AKIBA』(ソフマップAKIBA2号店)を会場として開催します。さらに準決勝、決勝戦は、8月10日に神田明神境内「明神ホール」を会場として開催されます!中国からのプロゲーミングチームも参加予定です。
《League of Legends》
1回戦~ベスト16(オンライン)
開催日:7月20日(土)、27日(土)、7/28日(日)
開催時間:18:00~22:00(予定)
開催場所:オンライン(配信なし)
形式:Bo1
準々決勝(ベスト8)
開催日:8月5日(月)、6日(火)
開催時間:18:00~22:00(予定)
開催場所:e Sports Studio AKIBA(ソフマップ AKIBA2号店)
形式:Bo3
準決勝・決勝
開催日:8月11日(日)
開催時間:10:00~19:00(予定)
開催場所:神田明神 明神ホール
形式:準決勝:Bo1、決勝:Bo1、エキシビションマッチ:Bo1
《レインボーシックスシージ》
1回戦~ベスト16(オンライン)
日程:7月21日(日)、22日(月)
開催時間:16:00~22:00(予定)
開催場所:オンライン
形式:Bo1
準々決勝(ベスト8)
日程:8月3日(土)、4日(日)
開催時間:13:00~20:00(予定)
場所:e Sports Studio AKIBA(ソフマップ AKIBA2号店)
形式:Bo1
準決勝・決勝
日程:8月10日(土)
開催時間:11:00~19:00(予定)
場所:神田明神 明神ホール
形式:準決勝:Bo1、決勝:Bo1
※オフライン準々決勝及び準決勝、決勝大会に関して、出場選手の宿泊先は神田明神カップ運営委員会で手配させて頂きます。宿泊する日程と宿泊先に関しては、当運営委員会にて指定させて頂きます。本大会への参加交通費に関しましては誠に申し訳ございませんが、自費での負担とさせて頂きます。
(リハーサルから出場頂きますので前日から宿泊が必要となります。)
詳細については以下の記事をご覧ください。
『AKIHABARA KANDAMYOUJIN CUP』が秋葉原で開催決定 競技タイトルは「LoL」「R6S」
■公式HP:http://kandamyoujin-cup.com
■Twitter:https://twitter.com/MYOUJINCUP
■入場料:無料