11月26日、アジア4位の獲得賞金を誇る韓国の強豪プロゲーミングチーム「Team MVP」が日本への進出、また「Team MVP Japan」の設立を発表しました。

そしてこの「Team MVP Japan」の代表に就任した人物は、『Counter-Strike1.6』というゲームで当時日本のトップチームであった「4dimensioN(以下4dN)」をマネージメントし、日本で初となるesportsのプロチームを誕生させた竹田”Buddha”恒昭氏。

「Team MVP Japan」代表の竹田氏

今回esports pressでは、そんな竹田氏に今回の「Team MVP Japan」の設立や、今後の活動についてインタビューさせていただきました。

韓国の強豪チーム「Team MVP」の日本進出の経緯について

――まず今回、韓国の強豪チームである「Team MVP」が日本進出を果たし、「Team MVP Japan」が設立するに至る経緯について教えてください。

竹田:もともと色々なところからesportsの「チームやろう」「大会やろう」とお話はあったんですけど、それって今誰でもできるし、僕がやる必要なかったんでお受けすることはなかったんです。ただ、この前埼玉で行われたとあるesportsのイベントを手伝ってと言われて、それに関してはスゴイ面白いと思って手伝ったんですよ。

そこから「もう一回esportsに目を向けてみよう」っていうところから始まって。それも9月の話なので、本当にそこから全てを考え始めて、もう一回チームを作ろうと思ったんですよね。

「Team MVP」はもともと4dNのライバルで韓国の「MaveN」っていう『Counter-Strike1.6』のチームにいた人物がやっていて、10年前にいつか一緒にアジアのチーム作れたら良いねっていう話があったんです。だから僕がもう一回チームを作るってなった時に、一番最初にコンタクト取りますよね。そこと話をしているうちに、韓国だけじゃ頭打ちな部分も見えてきたので、それであれば「一緒にやった方が面白くない?」ってすごく単純な部分で共感できたんです。

――竹田さんの過去の実績からすると、日本でプロチーム作り強化するとか、日本にあるチームを強化支援することもできたかと思います。ただその方向ではなく、韓国の強豪チームとともに協力体制を敷いて日本のマーケットに進出するというのは何か狙いがあったんですか?

竹田:例えば、日本で新たなチームを作るのはそんなの誰でもできるというか。じゃあ、「Team MVPと協力関係を築いて日本に進出できる人はいるの?」って時に、僕しかいないっていう自負はあったのでこうなってるっていう感じですね。

もちろん最初はチーム作ろうって漠然なところから始まっているんで、サッカーで例えればJ3から始めて、Jリーグよりも速いスピードでそこのリーグを駆け上がれるかなとは思ってたんですけど。でも「Team MVP」とやるとなった途端、そこは全然違うフェーズになっちゃったっていうのは、この2週間くらいの話ですね。

「Team MVP Japan」の今後の動向について

――「Team MVP Japan」の日本での動き、もしくは世界に対する動きみたいなのは現段階で何か決まっていたりしますか?

竹田:戦略的な部分もあるので、あまり言えないというか・・・。でも思っているよりフレックスです。もっとやる気のあるプレイヤーが、スゴイ熱量を持ってコンタクトしてきたら、逆に今ならチャンスです。上から言いたくないんですけど、Tier1、Tier2(※1)ぐらいのゲームタイトルであれば、そこのドアを僕は閉じることはしないので、そういう要望があれば欲しいし、僕も全部のタイトルを見て、全部のトップチームを見て、いつFAになって、いつどこで契約して、いつ移籍してなどの動向は正直追いきれないので。

でもタイトルごとにマネージャーが必要で、そのマネージャーたちの仕事になるとは思うんですけど、ただ単純にタイトルを足すって意味ではすごい難しいですよね。何事もそうなんですけど、一回始めたらやめちゃいけないっていうか。スポーツっていうと特にそうなんですよね。リーグとかも始めてすぐ止めるんですよ。絶対ダメだと思うんですよ。そしたらなんとかカップって一発ものにすりゃいいじゃんって話なのに。

過去にもそういう事例はあると思うんですけど、その人達の努力を否定するわけでもなくて、色々お金が大変だったりとか、世論がまだついてきていなかったりする面もあるんですけどね。今年「eスポーツ」がユーキャンの流行語大賞トップ10に入ったっていうけれど、まだそれに合わせた動きができてない。つまりまだ日本のesportsシーンが未熟でそれを支えている企業が少なすぎるんですよ。日本人が日本人のesportsシーンの成長を妨げているだけ、という風にしか僕には見えないですね。

※1 Tier・・・海外のesports分析サイト『SmartCast』が発表したもので、賞金額・視聴者数・SNSのファン数を元に3ランクに格付けしたもの。

活動するタイトルについて

――先程おっしゃられた「門はずっと開いている」という言葉に象徴されるかもしれないのですが、今後「Team MVP Japan」を運営するにあたって、活動するタイトルは現状決まっているのでしょうか?

竹田:決まってないです。ただ、「CS:GO(Counter-Strike:Global Offensive)」はもうやると僕言ってるんで、すで声をかけているチームはあります。どこかはご想像におまかせします。

インタビューに答える「Team MVP Japan」代表の竹田氏

ただ他のタイトルにしても、選手・チームを見つけて交渉して、それができたらようやくそのタイトルで活動できるんですよ。「やろうよ」はその前の段階。もちろん意思としてあっても選手・プレイヤー・契約がちゃんと決まらないとタイトルを増やしたことにはならないので。

ただ、今僕がやろうとしているのは「Team MVP」で足りないもの。例えば「格闘ゲーム」のような、手を出してないけれども日本からだったら強いやつ入れれるよみたいな埋め方をしたら、それは「Team MVP」のバリューも上がる、「CS:GO(Counter-Strike: Global Offensive)」「LoL(League of legends)」「Dota2」とかだけじゃなくて、「格闘ゲームにも進出したんだ」っていうのは、それはどこから見てもプラスですよね。

――今年設立した日本eスポーツ連合(JeSU)は現在11のゲームタイトルにプロライセンスを発行することを認めました。これらの今あるタイトルへの参戦も考えてはいるのでしょうか?

竹田:日本eスポーツ連語(JeSU)さんが認めている11種のタイトルでしたっけ?そこに「Tier1」「Tier2」くらいのタイトルとかほとんどないですよね。格闘ゲームの部分では参戦するのかもしれないですけど。

これに関して僕は陸上みたいな考えをすべきだと思っていて、陸上は「100m」、「200m」、「走り幅跳び」とか色々あるじゃないですか。ただ日本のesportsはこのタイトルはいいけどお前はまだダメみたいな。「100mはちょっと待ってろ」みたいな、なんかしっくり来ないっていうか。下のマイナーなところから認定されていっちゃってる感じなんですよグローバルから見た時に。そういう違和感はあって。

だから日本eスポーツ連合(JeSU)さんが今後日本を統括していくのであれば、もっと幅広くタイトルは増やしてほしいなと僕は思います。

――竹田さんは「Team MVP Japan」を設立する際コメントで、「Overwatch League(オーバーウォッチリーグ※2)」への参戦まで視野に入れてグローバルで活動できるチーム作りを目指します。」と発表されていました。これにあたり、選手の支援や待遇などどういう風に考えていますか?

竹田:それはグローバルスタンダードがあって、「Overwatch League(オーバーウォッチリーグ)」に参戦してるプレイヤーの平均年俸っていうのがあります。それに基づいて、選手、リザーバー、コーチと人数分の人件費+渡航費。さらにはゲーミングハウス。これらで一年の運営費は試算できるわけです。だから、どんな支援としては環境はもちろん給料も与えますし、「Overwatch」っていうタイトルは高給取りなタイトルなので、それに見合ったお金をお支払いします。野球選手の契約と何も変わらないと思いますよ。

見本っていったら偉そうになるかもしれないですけど、僕らがそうしないで他誰がやんの?と。まず指標にはなりたいと思ってて、だからゲーミングハウスを含め色々なレベルも高めたいです。

※2 Overwatch League(オーバーウォッチリーグ)・・・大人気ゲーム「Overwatch(オーバーウォッチ)」のプロリーグ。北米・アジア・欧州と、都市を拠点にしたチームよるグローバルなesportsリーグ。優勝賞金は100万USドルにものぼる。

――「Overwatch」部門の設立はこれはもう確実なのでしょうか?

竹田:「Team MVP」としてはもう「Overwatch」のチームは持ってます。ただ「Team MVP Japan」としてやって成り立つかっていったら、僕は成り立たないと思ってるんで、今はね。だから、例えば「Team MVP Academy」のようなファームチームみたいな1個下のところから始めたいと思っています。そういう意味でいうと、逆に「Team MVP」の看板って今重すぎると思うし、そこは同じ組織に属しながら、2軍みたいな立ち位置で。「Team MVP」の名前使う使わないは置いといて、考え方的にはそういう入り方をしてもらうと。いきなり「Overwatch League(オーバーウォッチリーグ)」にいって活躍できるかって言ったら絶対できないと思うので。

ただ、それをやることによって今1秒1秒世界と広がってる差っていうのが、少しずつ狭まっていくようになればいいと思うし、ある程度知識とノウハウを日本人がゲットしたら、そのへんは頭いいから、「たどり着くにはこれくらいの時間が必要だよね」とかっていうのはなんとなく肌感でわかってくるはずですし。

――待遇面を含め、これからプロプレイヤーになりたいとか、esports業界に関わりたい方はかなり多いと思います。

竹田:問い合わせはものすごい来てます。「ストリーマー募集してますか?」「マネージャー募集してますか?」「PUBGのチーム募集してますか?」「Overwatch募集してますか?」「公募時期はいつから?」とか色んな質問が来ますね。で、ごめんなさいほとんどに答える時間が全然なくて、答えられてないんですけど、まあそういう部分はこういうインタビューの中でも消化できる部分は消化したいなと思ってます。

――今後スタッフや選手を選抜するトライアウトの募集などはどう考えていらっしゃいますか?

竹田:スタッフは募集っていうよりも、僕らのチームは韓国語ができて日本語もできるスタッフ、英語もでき日本語もできるスタッフ、さらにインターナショナルレベルでesportsをわかっているスタッフって観点で考えると、僕が今一本釣りした方が現状早いんですよね。

プレイヤーに関しては、来てもらうか声かけるしかないんですけど、スタッフに関して言うと、チームが連れてくるマネージャー以外は基本最初は僕が知ってる人から声をかけるスタイルになるんじゃないんですかね。

トライアウトに関してはニーズがあればですね。トライアウト受けたいですって人が二人だったら、別にトライアウトじゃなくて済む話で、それが何十人って来ましたってなったらまとめてやるかもしれないし、そこはもうちょっと様子を見てからだと思ってます。

どっちかって言ったらマネージャーとかの方が先に必要で、さらにマネージャーをまとめるチーフマネージャーが必要だとか、2つのチームを見てねとかっていう風に、今後マネージャーさんたちはなっていくだろうから。

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