――先日キャラ調整が入りましたが、自身に影響はありましたか。
ふ~ど選手:自分のキャラはただ弱くなってしまったので、辛いなって感じなんですけど、他のプロ競技と違うゲームの部分が出たなって感じですね。やっぱりゲームって自分が使ってるキャラが弱くなったりすると急に勝てなくなったりするんですよ。そこら辺が難しいなとは思いますね。自分ではコントロールが効かない。

今回弱くされてしまったので、じゃあ来年どうなるのかなって不安はありますが、もしかしたらまた2月とかに調整があるかもしれないので、そこには期待してたりしますね。これこそ本当に仕事って感じですよね(笑)。

――キャラ変えは考えていますか?

ふ~ど選手:キャラを変えることについては全然考えていないです。どちらかというと今は、キャラを追加するっていうのが主流なんですよね。ガラって変えるよりは、どんどん使えるキャラを増やしていって、このキャラにはこれを使った方がいいんじゃないかって形で対応できるキャラを増やしていますね。

――追加というと今、練習されているキャラがいるのでしょうか。

ふ~ど選手:今は「ナッシュ」を練習しています。だけど、まだまだなので、もし使うとしても後半でしょうね(笑)。普段の練習ではナッシュを使っていても勝てるんですよ。だけど、大会は世界のトップレベルと当たるので、現実は練習している相手とすごい差があるんですよね。今いけるって過信した時にとんでもない負け方をしてしまうことがあるので、なるべくニュートラルに見るようにしています。

――キャラの選び方を教えてください。

ふ~ど選手:キャラの選び方は好みですね。強いキャラは触りたいなって思うんですけど、強いキャラって先駆者がいてその人を超えるかどうかって難しかったりするんですよね。

だったら自分のキャラの色を出して唯一無二にした方が賢明。強いキャラって世界中に使っている人がいるので、対策も進んでいたりするんですよ。結果的にみんなの対策が進んでいて勝てなかったりもするので、そこら辺は難しいところでもありますね。

――その中で、現在使用しているキャラを選んだ理由をお聞かせください。

ふ~ど選手:今使っているキャラ「レインボー・ミカ」は、「ストV」のリリース当初のシーズン1から使っています。強いキャラで使ってみようかなって思ってそのまま使い続けています。

SFを始めた当時、周りがかなり強くて全然勝てない「俺の方がゲーム上手いのになんで勝てないの?」って思ったりもしたんですけど、それって無粋ですよね。

要するに、「俺の方が上手いのに」ってただの言い訳なので、負けたときには「俺が悪い」って認めて反省したいと思ったんですよね。それで強いキャラを使うようにし始めたんですが、今回の調整で両方とも弱くなってしまったのでまた振り出しに戻ってしまいました、また「俺の方がゲーム上手いのにな」って思いながらやる羽目になるかもしれないですね(笑)。

――不調の時の切り替え方を教えてください。

ふ~ど選手:不調の定義が難しいですね。自分的には納得できないなって思っても、客観的に見るとめちゃくちゃ頑張ってると思われたりもするので、考えないことにしています。序盤に負けまくってたら不調だとは思うんですけど、優勝こそのがしても、結構上位に食い込んでいるので、調子が悪いという状態はあまりない。

ネガティブになってもいいことがないのでネガティブな感情を持たないようにしています。なので練習方法を変えたりすることもないです。

――昔からスタイルを変えずに続けているんですね。
ふ~ど選手:そうですね。ただ、変わったこともやってみました。
今年序盤に優勝を逃し続けていたので、滝行に行きました(笑)。オカルトも入れてみようかなって。冗談半分で滝に打たれてみたんですけど、これによってみんなが応援してくれるようになったのが嬉しかったですね。
滝に打たれた理由は優勝できなかったことですが、新しいチャレンジにたくさんの人が応援してくれてとても良い経験でした。

――今後も、そのような(滝行のような)活動はされるんですか?

ふ~ど選手:護摩行を来年あたりに「くだらないシリーズ」としてやりたいですね。

ウメハラさんのBeasTVで配信してきた経験を経て、11月から自分のチャンネル(TheFuudo)を立ち上げて配信を始めたので、面白いことをどんどん率先してやっていきたいと思っています。

――初中級者向けの配信をよくしていますが、初心者と中級者にゲームを教えるときに心がけていることはありますか。

ふ~ど選手:僕が操作するわけじゃなくて、その人が操作するのでモチベーションが一番大事なんですよ。なので「これをやった方がいい」というような指導はしないようにしています。あくまでも、その人がどうやったらもっとプレイするのかなっていうのを教えるのが重要だと思うんです。

それこそゲームを教えなくても「飲みながらこれをやったらどう?」って言ってみて、本人がそれを楽しいと思えたら勝手にをやるものだと思うんです。やったら上手くなるんですよ。ゲームって娯楽だから簡単なんですよ基本的に。

難しかったら誰もやらないですよね。まずはどうやったらゲームをやるようになるのかってことを考えて、環境を作ってあげることが重要で、逆に、しんどいだったりゲームつまらないって思われちゃうと、どれだけ教えても上手くならないので、楽しくゲームするためにはどうしたらいいかを重要視しています。

――見極めることが大事なんですね。

ふ~ど選手:基本配信の場に来てもらって話しをするので、どのくらいの気持ちで、どれくらい熱量を持っているのかを把握します。その人が本当にゲームを上手くなりたいのか、ある程度の知識を知りたいのかなど、スタンスって結構違うと思うんですよね。

そのスタンスにあったものを提供してあげた方がいいなって思います。上手くなりたいならこれを練習しろ、このコンボが絶対できなきゃダメだって言っても何も意味がないと思ってしまうので。

――ふ~ど選手は教わりたい派ですか、それとも教えたい派ですか。

ふ~ど選手:僕は両方ですね。結構プロゲーマーの中でも教えない方が人は成長するんじゃないかっていう考えもあるんですよ。自分で考えた方がいいって。僕はそういう考えはないんですよ。情報は全部共有した方がいいじゃんて思うし、わからないことは教えてもらいたいですし。それを実戦で真似ない人って出てくると思うんですけど、そういう人は教えても上手くないですって僕は思っちゃいます。

――ふ~ど選手にとって、師匠のような存在はいらっしゃいますか。

ふ~ど選手:います。「ストリートファイター」を始める前に「バーチャファイター」をやっていたんですが、そこで有名な虎龍さん。虎龍さんは同じ人とずっと対戦しているのに、どんどん読み合いが変化していくんです。それって、その人がゲームの駆け引きが上手いってことなんですよ。それがありがたかったですね。もう師匠っていう感じでした。

――お互いに高め合っていたと。

ふ~ど選手:むしろ僕が引っ張ってもらっていました。本当にトッププレイヤーってことを、僕全然知らなかったんですよ。共同生活の家があって、その人がいて。すごい嫌なプレイするなって思っていたんですけど、もの凄く強い人だったっていう(笑)。

――他のゲームだとコーチやアナリストなどがいますが、格闘ゲームでそういった職業をやってみたいという想いはありますか。
ふ~ど選手:自分の配信番組の中の「ジコケンTV」っていう定期企画でそういったことをしています。その中で意識していることは、「esports」がスポーツだっていうことです。

それこそコーチだったり、アナリストだったり色々な職業があると思うんですけど、「esports」って出てきたばかりで、型が決まっていないなら、スポーツをなぞった方が得なんじゃないかなって考えているので、配信でも僕は続けていきたいですね。

――今後やっていきたい想いはあるんですね。

ふ~ど選手:そうですね。ただ、一度アナリストをしてみたんですが、データを出したりすることが凄く大変で。僕はそういうことが好きなんですけど、全てをそこに捧ぐこともできず、中途半端になってしまいましたね。

――ご自身はアナリストをつけたいと思っていますか。

ふ~ど選手:やっていただけるのなら歓迎しますが、お金がかかると思うので今は考えていないです。

――引退を考えたことはありますか。

ふ~ど選手:引退は考えていないですね。第1プロゲーマー世代なんですよ、僕たちって。梅原さんだったりSakoさんだったり40歳で、僕より6歳上の方々が現役でやっているんです。その年齢までできるのかとも思うし、まだ引退した例もないんですよね。

野球選手が引退して、コーチになったりすると思うんですけど、野球ってルール自体は変わらないじゃないですか。なのでノウハウが残って教えることがあると思うんですけど、ゲームって1から変わってしまうので、気合い系のことしか言えなくなっちゃうんです。

――これから更に強くなるために、必要なことはなんだと考えていますか。
ふ~ど選手:今年Capcom CupでPunk選手に負けたときに「ストV力」で押されたなって感覚がありました。キャラ対策は自信があったんですけど、Punk選手のストVの強さに負けてしまって、その時Punk選手にはどのキャラでもきついのかなって思ったんですよね。

今まで僕は「ストV力」っていう分からないものではなくて、キャラクター対策だったり明確なものを極めてきたんですけど、もっと逆にふわっとした「ストV力」を上げたいなって思ってますね。
まだ分からない部分ではあるんですけど、僕に足りないのは技の細かい部分ではなくて「強くなること」だと思うので、そこを探せていけたらいいなって思いますね。

ふ~ど選手が出場した「Capcom Cup 2019」のアーカイブはこちら。

Capcom Cup 2019

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