人気格闘ゲーム「ストリートファイターV」を使用して行われるプロツアー「Capcom Pro Tour 2019(CPT)」にて、毎年素晴らしい成績を収め、決勝大会「Capcom Cup 2019」への出場も果たした、ふ~ど選手。
プロゲーマーとして2012年から活動を続け、今や日本を代表するプレイヤーでもある「ふ~ど選手」に、2019年の振り返りや今後の展望、そして引退についてまでお話を伺うことができました。
今回インタビューをesportsメディア「ESPORTS侍NEWS」と合同で行いました。後編ではふ~ど選手のプロゲーマーになった背景や、結婚に関するプライベートな話まで聞いていますので、ぜひ後編も併せてご覧ください。
――2019年お疲れ様でした。今年のCPTおよび決勝大会「Capcom Cup 2019」を振り返ってみていかがでしたか。
ふ~ど選手:確定させるまでは不安が大きいですが、今年は結構序盤に確定できました。多分夏前には「Capcom Cup」に参加できるくらいポイントを獲得できたので、ツアーに関しては満足のいく結果だったと思います。
僕は「優勝できない」っていうジンクスがあったんです。ベスト8や決勝までは行くんですけど、優勝までどうしても手が届かない。それが、シンガポールの大会「SEA Major 2019」で優勝できました。1年に1回でも優勝できて大きな自信につながったのでので、今年のプロツアーは満足いくものになりました。
「Capcom Cup 2019」は、結果的には5位で終わりました。優勝が見えていた流れだったので、悔しかったですが、内容はよかったので、結果にも納得がいっています。
――日本勢でウィナーズで勝ち進んだのはふ~ど選手だけでしたが、そこに対してはどう感じましたか。
ふ~ど選手:特別な感情は沸かなかったですね。どっちかと言ったら自分が勝てる人とやりたいと思うのが当たり前だと思うんですよ。僕よりも熱い人だったら「こいつを絶対倒したいから強いやつを連れてこい」ってなるかもしれないですけど、僕は勝てる人と当たりたいと思うくらいなので。
自分が負けた後は、マゴ選手とときど選手が残っていたので、その2人には残って欲しいなとは思いました。練習仲間ですし。
――苦戦した相手はいましたか。
ふ~ど選手:1回戦のLuffy選手が本当に危なかったですね。2本は先に取ることができたんですけど、その後すぐに2本取り返されて。正直どっちが勝つか分からないって感じでしたね。
組み合わせ的にも同キャラで盛り上がりましたね。ヒヤヒヤしましたけど、結果的には本当にギリギリで勝てました。
――Luffy選手に勝ってからは、勢いに乗ってくことができたという印象でしょうか。
ふ~ど選手:そこから次も割といい内容で勝てていたんですけど、Punk選手にベスト4で当たってボッコボコにされたんですよ。もう強い。
――やはりPunk選手の壁は高いと感じましたか。
ふ~ど選手:最強ってずっと言われてますよね。CPTのポイントランキングはPunk選手が世界1位なんですよね。1年間通してポイント1位イコール一番強いといえると思います。実際強かったですね。
――そうなるとPunk選手にライバル意識があったりも。
ふ~ど選手:年齢がすごい離れているんですよ、一周りくらい。だから、ライバル意識よりも、本当に新しく強い人が出てきたなっていう、脅威の存在っていうイメージですね。本当に強い海外の選手って感じですかね。
――ちなみに、ご自身がライバルと思っている選手はいらっしゃいますか。
ふ~ど選手:同い年で強い選手が多いんですよ。例えば、ももち選手、ときど選手、MOV選手とか。同い年のプロ選手にはやっぱり勝ちたいなって気持ちはありますよね。
――そうなると大会で(同世代の選手と)当たる時は、意識するものなのでしょうか。
ふ~ど選手:プロゲーマーになったのが2012年で、9年プロ活動を続けてきたので意識しなくなりました。「Capcom Cup」など大きい大会では意識することもあるんでしょうが、でも僕自身は彼らがどうのこうのというよりは、優勝したいって気持ちの方が大きいですね。
――来年CPTのルールが変更されると発表がありましたが、そこに対してはどう感じましたか。
ふ~ど選手:出場枠数が重要で、今まで32人だったものが40人になったんですよね。となると、人数も増えていることもあって、ルールがどうであれ基本的には(Capcom Cupに)出場しやすくなったんじゃないかと見ています。
選手として、日本人やアジアの人が多いので、「リージョンロック」って言われている、「日本人は5人しか出場できません」などの人数制限があったら危ないなと思いましたね。それがないのであれば人数が増えた以上、有利になったんじゃないかなって思っています。
ルールがまだ確実に出たわけじゃないので、まだなんとも言えないところではあるんですけど、僕は結構楽観的に見ていますね。
――前半8枠・後半8枠とコミュニティ大会22枠が出場枠としてあると思うのですが、ふ~ど選手はどの枠で出場を狙う予定でしょうか。
ふ~ど選手:基本的にはプロツアーの前半ですね。プロゲーマーの活動って、プロツアーだけじゃないですよね。その中で、僕自身プロツアーでは「Capcom Cup」に出場するっていうのは最低ラインだと思っているので、前半に決まってしまえば後半にやれることが増えるんですよ、例えば海外に行かない分、国内のイベントに参加できるとか、自分がイベントを主催するだとか。
それこそ、最近結婚したので、奥さん(倉持由香さん)と一緒に時間を過ごすとか。そういう時間の選択肢が広がるんですよ。前半に取れないと、後半にそれらの予定を全部真っ白にしないといけないんで、前半で決めて、後半を有効に使いたいなと思ってます。
――前半までに仕上げていこうという想いが強くあるんですね。
ふ~ど選手:そうですね。常に上り調子というよりは、常に自分が強くあるべきだと思っていますし、ゴールを目指してやるっていうよりは、ずっとやり続けてるって感じですね。
――普段の練習で意識していることはありますか。
ふ~ど選手:数をこなすよりは考える時間が大事だなって思っているので、対戦する、考える、対戦する、考えるって繰り返しています。なんなら対戦の方が少なくてもいいのかなってくらいで。ありがたいことにゲームを仕事として生計を立てていますが、僕のなかでは今でもゲームは「遊び」だということを大事にしています。
なるべく楽しくやろうとすると、結果的に長く練習できるんですよ。意識的にやると2時間で疲れちゃうので、僕は人と一緒に楽しみながらゲームをすることを意識しています。
――そうなると、試合を見て考えることが好きなのでしょうか。
ふ~ど選手:自分が対戦しなくても、人が対戦しているところを見るのが好きなんですよ。軽くやっているところを見たりするだけでも練習になるなって思っているので、ゲームの空間に居られる努力をしていますね。