――2020年度CPTのルールが変更されると発表がありましたが、そこに対してはどう感じましたか。
ボンちゃん選手:思い切ったなっていうのが第1印象ですね。今まで32人だった枠が40人に増えて、現状だと1年を通した総合ポイントで上位何人までが「Capcom Cup」に出れますよってルールなんですが、今回が前半と後半で分かれていて、前半で稼いだポイントは後半ではリセットされて始まるって聞いてるんですね。

ということは、1年間をかけて戦い続けることをしなくていい可能性がありますし、もし前半スケジュールの都合などで1個、2個プレミア大会出れなかった場合、かなり損ですし不利になってしまいますよね。そうなると、その後に控えている前半の大会に出る意味ってあるの?ってなってしまうと思うんですよ。

2020年度から実装されるコミュニティ大会での出場枠が22枠もあって、そっちの方が枠として多いじゃないですか。だったら最初からそっちで出場を狙ってしまえば、こっちとしては効率がいいんですよね。

今まで1年間ツアーで大会を周り続けるのが自分の仕事だと思っていましたし、そこを通して枠を勝ち取るっていうのが当たり前だと思ってましたしね。まだコミュニティ大会の詳細は出ていないので、なんとも言えないんですけど大会に出る回数は減るかもしれませんし、そこで空いた時間を国内での活動に当てるっていうやり方になるかもしれませんね。ただ正直リセットっていうのは嫌でしたね。

今まで、前半でポイントを稼いだ人たちに、後半から入った人たちが追い付けないっていう現状があったんですよね。今回特例でキチパームが、「EVO」のTOP8を皮切りに後半伸ばして「Capcom Cup」に出ることが出来たんですけど、そういった不利をなくすために考えられたルールだとは思いますね。

ただ、やっぱり(CPT自体)完成された大会ではないので、これから試行錯誤してより良い大会になっていくなら、その方がいいですし、いろいろ試せる部分は試していく方がいいと思っている派なので、来年度期待してますぐらいの感覚です。

――2019年も海外大会が多く、スケジュール的にもハードな部分はあったと思いますがどうでしたか?

ボンちゃん選手:そりゃあしんどいですよ(笑)。CPTが始まってから、大会に出場したのが15回以下だったことがないんですよ。今年が16回と少ない方で、多い時だと20回近い大会に出場してたので、やっぱ大変ですよね。もっと少なくしてくれって正直思いますし、年間の3分の1ほどは、どこかへ行っているので「行き過ぎでしょ(笑)」って思いますね。

もう少し日本にいたいなって思いますし、元々あんまり海外に行くのが好きではないので。観光とかあまりしないんですよ。今まで7年ぐらい海外の大会へ出場してるんですけど、観光した回数は片手で数えられるくらいしか行ったことがないので。日本が一番ですね。

――海外大会では、緊張することはないのでしょうか?

ボンちゃん選手:いやしますします(笑)。しますけど、いわば大会に昔から出てるので慣れっこではありますかね。ただ、未だに試合前とかに手が震えることもありますし、今年の「EVO」は緊張しましたね。望んでいた舞台でもあったので、「勝たなきゃ」って想いが強かったです。普段はいつも通りやりましょうって感覚なんですけど、「EVO」はチャンスとして少ないので、久々に勝たなければならない大会っていう感覚でしたね。

――先日行われた「Red Bull Kumite」では結果は別として、大会自体をかなり楽しんでいる印象を受けました。率直な感想としていかがでしたか?

ボンちゃん選手:今回5回目にして前回まではフランス開催で日本での開催が初めてだったんですけど、格闘ゲームをショウとして取り組んでいるなって印象が強い大会なんですよね。なので、「これ本当に格闘ゲームの大会?」って思うぐらいでした。Red Bullが選手にフォーカスを当てて、見せ方をちゃんとした大会にしたいと言っていたのもあって、そういった部分に期待していたんですけど、しっかりと実現されていましたね。

――「Red Bull Kumite」はどんな場だと自身では考えていますか。

ボンちゃん選手:「勝たなきゃ」って大会ですかね。僕がプロゲーマーになるきっかけを与えてくれた大会でもありますし、プロゲーマーになりたいと思ってるアマチュアのプレイヤーは露出をしていかなければならないんですよね。自分から外に出て大会で結果を残すことや、発信していくことでお声をかけていただくっていう流れが一般的だと思うんですけど、「Red Bull Kumite」での優勝というのは、自分のキャリアの中で非常に大きなものでありますし、そんな大会だからこそ「勝たなきゃ」って思いが強くありますね。

お世話になってる身でもあって、この大会のおかげで今の自分があるといっても過言ではないので、毎年気合は入れてはいるんですけど、今回はどうしても新バージョンになってから練習期間が短いのもあって、お祭りにみたいになるなっていうのは始まる前から分かっていたので、現時点で一番いいパフォーマンスをしようと思って取り組みましたね。

――「ストリートファイターV」全体の話にはなりますが、注目の選手はいますか。

ボンちゃん選手:僕は「ストリートファイターV」のシーンにおいては、“Punk” という存在は一つ抜けているかなと思いますね。彼がいなかったら、ここまで盛り上がらなかったのではないかと思わせてくれますし、やっぱり日本勢が強いと言われる中で、全く引けを取らないクオリティで大会も勝っていきますしね。

プレイ内容を見ていても、自分が真似できないなと思わせてくれるプレイをしてくれるので、見ていて飽きませんし、素直に凄いなと思いますね。マークもされるわけなんですけど、そのマークしてきた相手の上を行って返り討ちにしたシーンも見ていますし、良いプレイヤーだなとしみじみ思っていますね。

「Punk」は素晴らしいプレイヤーだと思っていますし、(存在自体が)ありがとうございますって感じですね。

――現在、Punk選手と同じキャラを使っていますよね。

ボンちゃん選手:そうですね。元々Punk選手がシーズン1から「かりん」を使っていて、僕がシーズン2から使ってたんですけど、誰のプレイを参考にするかっていったら、まずPunk選手でしたね。

やっぱり勝ってるプレイヤーっていうのは説得力もありますし、試合を見てるだけで何を考えてたのかプレイで分かるんですよね。ただ参考にしたプレイヤーだからこそ、自分が当たった時には、Punk選手がどういう人間なのか分かっているので、直接対決では結構勝てるんですけど、プレイ内容だったらPunk選手の方が全然上だと思います。

――最後に、自身が更に強くなるために必要なことはなんだと考えますか。

ボンちゃん選手:僕が後半に勝てなくなった理由として、対策されてるなって感覚があったんですよ。「自分に的を絞られたな」って強いプレイヤーと当たった時に感じたんですよね。今までマークをされるってことが、このゲームにおいてあまり無かったんですよ。

優勝はしてはいたんですけど、大会自体数が多くありますし、優勝もその時の運もあるので、今回のように「EVO」優勝だったり、プレミア4連覇といったことをしない限りマークされることはないので、そのマークされたときの厳しさを感じましたね。マークされてるって自覚を持って取り組まないといけなかったですし、ちょっと気づくのが遅かったですね。負けてしまったときに、「これだけ勝ってれば負けてしまうこともあるか」ぐらいに後半思っていたので。

ただ今になって試合を振り返って動画を見てみると、普段と違う負け方をしてるんですよね。それを試合中に感じることは無かったんですけど、振り返って考えると自分のミスで負けてましたね。ただ、そうしたことを考えることができたっていうのはいい経験でしたし、今後に活かすことができるので、結果は振るわなかったですが、経験値は積めたなと今になっては思いますね。

ボンちゃん選手が出場した「Capcom Cup 2019」と「Red Bull Kumite 2019」のアーカイブはこちら。

Capcom Cup 2019

Red Bull Kumite 2019

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