――さて、esports全体のところでお聞きしたいのですが、2018年は流行語にノミネートされるなど「esports」がゲーム業界内外問わず盛り上がったと思います。

そんな中で『ストリートファイター』シリーズが今後のesports界の中でどのような立ち位置になっていきたいかというビジョンをお聞かせください。

綾野:流行語大賞になったりは、日本だけのムーヴメントかなと思うんです。手前味噌になりますが、ストリートファイターは日本のesportsのトップを走っていると自負しています。

けれどトップを走るんであれば、やっぱり世界にも視野を広げていかなくてはいけないですよね。格闘ゲームというジャンルは、世界的なesportsスポーツシーンにおいてはまだまだニッチなジャンルです。

格闘ゲームというジャンル、ストリートファイターというゲームをいかにメジャーに押し上げていけるかということがカプコンとしての課題であると考えています。

また、日本で活躍した選手が、いかにすれば世界で活躍できるかという課題も持っています。ストリートファイターは日本のesportsシーンを引っ張って行く責任と世界での格闘ゲームの普及ということを目指している。

これが我々の思い描くビジョンですね。

――そんな中でも世界規模で行われている大会で日本人選手が活躍して結果を残されていて、一般の人にも広まりつつあります。

改めて結果を日本人選手が残せる理由みたいなものを感じられたりしますか?

TOKIDO FLAMEのリーダーのときど選手
TOKIDO FLAMEのリーダーのときど選手

 
綾野:『ストリートファイター』は日本の、それも大阪のメーカーが作ってます。中堅・中小企業が集まる土地柄なんでしょうか、職人気質というかすごくきめ細やかな商品を作ります。

大規模開発はこのご時世、必要ではあるんですが、それで職人たちによる匠の積み重ねがなくなることは決してなく『ストリートファイター』でも同様に職人のこだわりが息づいています。

いくつか海外製の対戦格闘ゲームはあるんですが、現時点では格闘ゲームでメジャーに押しあがっているのは『ストリートファイター』をはじめとする日本から発信する格闘ゲームになっています。

作る側の職人技と、プレイする側の職人技の相性が良いのではないでしょうか?

また強い選手が多いという環境が恵まれているので、日本人選手が強いというのはそれはそうかなと思うんです。

ただ僕らとしては日本が強ければそれでいいとは思っていなくて、逆に海外選手にもどんどん強くなってもらって、海外でも盛り上がっていくように育っていかないといけないと思っています。

今より日本人選手が強く……というよりは海外にいかに広まっていくかということを意識して開発とプロモーションを頑張っているところですね。

――全世界での『ストリートファイター』のプレイ人数ってどのくらいなのでしょうか?

綾野:販売本数は累計で4200万本なので、それだけの人の手には届いていますね。お陰様で『ストリートファイターシリーズ』は30周年をこえました。でも僕らとしてはまだ物足りないなと思っていますので、これからどんどんと広めていきたいと思っています。

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