――対戦格闘ゲームは他のeスポーツに比べてベテラン選手の活躍が目立ちますが、最近は若手の台頭も目立っています。同じ若手としてこの傾向をどう感じていますか。

立川:結果が最近出始めているだけで、急に若手が出てきたって感じではないですね。これまでずっと練習を真面目に取り組んでいる人が勝ち始めてきているって感じです。長年やってきたことがようやく実り始めているんじゃないですかね。ナウマンのEVO Japanの優勝が顕著な例だと思います。自分自身としては、いろいろなタイトルに手を出してますが、少しずつ結果が出始めており、手を広げてもやっていけるという実感を持っています。

竹内:立川君と同じく、しっかり練習をしてやり込みの成果が出てきたんだと思います。ベテラン勢に関しては、ボンちゃんさんが今年は大会への出場を抑えて活動するとか、ふ~どさんが結婚したり、ハイタニさんに子供が生まれたりと人生設計が変わってきたように感じます。その流れがベテラン勢の引退に繋がってしまうのではないかと感じています。ベテランの方たちが抜けてしまった時、今の若手が格闘ゲーム業界をしっかりと引き継げていけるかとどうかは心配ですね。

ベテラン選手と同じくらいの人気を保つことができ、格ゲー界を盛り上げられるかどうかで、今後の格ゲー界、eスポーツ界の動向が変わってくると思います。その点は焦りを感じています。ベテラン勢が抜けて若手が台頭するのではなく、しっかりと若手がベテランを倒して世代交代をしていきたいです。負け越したまま、引退されて、リベンジする機会がなくなってしまうのは、悔しいですしね。

立川:わかる。かずのこさんが今、ストリーマーに近くなっているんですけど、今のかずのこさんに勝ったとしても、本当に勝てたと言えない気がします。大会で活躍していたベストな状態で勝っておきたいんですよね。負けたまま引退されて、その後酒を飲んだりしたときに、「結局、俺に勝てなかったな」とか言われたら悔しくてしょうがありません。

僕は若手全員が好きで、若手が活躍することはすごく嬉しいんですけど、自分以外の同世代の選手が勝つのは悔しい部分もありますね。先輩が勝つことよりも意識してしまいます。もちろん、それを軸にして試合には臨んでいないですけど、モチベーションにはなりますね。

竹内:そう、同世代が大きな大会で優勝すると嬉しくはありますけど、悔しさは残りますし、もっと頑張らなきゃって思います。

大谷:僕はあまり気にしないですね。プロゲーマーとして、スポンサーや忍ismに貢献したいと言う気持ちから、もっと活躍したいとは思いますけど、あまり他の若手が活躍したからって、悔しいとかそういう気持ちは湧かないですね。

――新型コロナウイルス感染症の影響で大会が延期したり、中止したりする現状ですが、大会参加以外でプロゲーマーとしての活動を考えているのでしょうか。

竹内:プロゲーマーとして、最大の活躍の場がなくなったのは辛いです。ただ、過酷なカプコンプロツアーの海外遠征がなくなった点に関しては、ちょっと安心している部分もあります。チームやスポンサーに対しては大会で結果を残すことが一番の貢献だと思っていますが、その大会がなくなった以上、どういう形で貢献できるかを考えています。大会やツアー参加で使っていた時間が余ることになるので、その時間をどう有効活用していくかも思案中です。

大谷:オフライン大会がほぼなくなったので、先日オンライン大会に出場しました。ただ、オフライン大会ならではの緊張感がなかったので、やはりちょっと違うのだなと思いました。大会がなくなることで、そこで得られる経験も得られなくなり、練習を重ねた結果を大会で確認できたところ、それができなくなったのは、自分がどれだけ強くなったかわからなくなってしまいました。

大会参加に費やしていた時間は、個人の動画配信をがんばっていこうかと思います。何か面白いことができればと画策中です。あとは、いつ大会が再開されても良いように、練習をしておきます。通常でしたらレアキャラ対策の練習はあまりしませんでしたが、その対策もしていきたいです。大会がないとどうしてもモチベーションは下がってしまいますが、モチベーションはできるだけ保持していきたいです。実際は大会がないんですが、あるつもりで練習を続けていきたいと思っています。

立川:僕も大会がなくなったことで、ガクンとモチベーションが下がりました。下手したら2年間くらいゲームができなくなってしまうかも知れません。2年間あれば、いろんなことができると思うんですよね。その間に自分自身のスキルを上げられたらいいなって思います。ゲーム以外でもいろいろやりたいです。ただ、見切り発車でやってしまうと良くないのでしっかりと計画を立てて行動していきたいです。具体的に言うと、英会話ですね。TOEICで良い成績を残せるように勉強をしています。
大会がない時期にゲームをやり込むことは、自分的にはちょっと違うと思っています。シーズンが変わることでバージョンが変わってしまうこともありますし、なんならタイトル自体が変わってしまう可能性もあります。なので、今やってきた練習がすべて無駄になってしまうことはありますよね。

――大会がなくなったうえで、ファンへのアピールは何か考えていますでしょうか。

立川:先ほども言いましたが、新型コロナウイルス感染症の影響がある状態では、ゲームをやり込む時期ではないかなと思っています。ただ、逆に練習にのめりこむ人もいますので、そういった人に指導することができれば良いかなって思っています。大会を開いて盛り上げることもしていきたいですね。まあ、個人で大会を開くのは難しいのでチームで開くことになるとは思います。プロではない方々のプレイを盛り上げるようなことをしていきたいですね。

竹内:ファン向けの行動としては、SNSでの発信の強化ですね。自分自身のスキルとしては、イラストをもっと描いていきたいです。これまでも描いたイラストをSNSにアップしているのですが、幸いなことに、ある程度知名度があるので、いろいろな方に観ていただいています。絵が上手い人にアドバイスや描き方などを教えていただけているのはありがたいですね。液タブなども買いそろえていますので、もっと力を入れていきたいです。

同じチームの先輩であるネモさんから、絶えず最悪の事態に陥った時のことを考えるように言われています。なので、プロゲーマーとして活動ができなくなってしまっても、イラストでなんとかできるようになれば良いなと思っています。

大谷:僕もSNSや動画配信を通じて、ファンにアピールしたいと思っています。どうやったらファンに喜んで貰えるのか、ファンが増やせるのかを考えています。ファンが増え、より多くの人に応援していただければ、スポンサーやチームへ貢献できるようになると思いますので。

あとは、今回もそうですが、インタビューの受け答えや振る舞いがもっとうまくできるようにしたいですね。大会で勝ったときのパフォーマンスも何かできればと思います。意識して話をしないとすぐに無口になってしまうので、そうならないようにしていきたいです。

立川選手
Twitter:@TachikawaBR
Youtube:プロゲーマーシェアハウス
Twitch:tachikawabr

竹内ジョン選手
Twitter:@john_takeuchi
Twitch:john_tak

大谷選手
Twitter:@otani_saru
Mildom:大谷_SNB

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